第6話 愛の理解、能力の素『エナ』
クリスは自分が感じた、スレイの歪んだ愛についてノエルに伝えることにした。
「ノエル…ちょっといいか。」
クリスは深く息をつき、ノエルに向かって真剣な表情で言った。
「ノエル、君に大切な話があるんだ。これはスレイのことなんだけど…彼の君への愛は、普通の愛とは少し違う。」
クリスはスレイの記憶と行動について話し始めた。
「スレイの愛は、愛情というよりも執着に近いんだ。彼は君を自分だけのものにしようとしているんだよ。」
その言葉にノエルは少し驚いた表情を見せたが、クリスの話を真剣に聞いていた。
「しゅーちゃく?」
ノエルは首をかしげる。そんな彼女にクリスは告げる。
「愛という感情は複雑なんだ。食べ物が好きという感情とは違う。スレイの君への愛は、少し危険なんだよ。」
クリスの言葉には、ノエルを守りたいという強い思いが込められていた。ノエルは少し考え込んだ後、静かに答えた。
「スレイも好きだし、ドクター・リヴァーも好き。そしてクリス、君も好き。だけど、君の言う愛という感情はまだ理解できない。」
彼女の言葉には、混乱と共に純粋さが感じられた。クリスはノエルの言葉に戸惑いながらも、彼女が愛を理解できる日が来ることを心底願った。
「ノエル、いつか君が本当の愛を理解できる日が来るといいな。」
彼の心には、ノエルへの深い思いと希望が宿っていた。
ノエルは興味を抱き、クリスにふと尋ねた。
「クリス、君は私のことが好きかどうか教えてくれる?」
彼女の瞳には、純粋な好奇心が宿っていた。クリスはその質問に驚き、しばらく考え込んだ。
「ノエル、君のことをどう思っているか…?」
彼は心の中で言葉を選びながら、ノエルの真っ直ぐな視線を感じた。
「うん、ノエル。君のことが好きだよ。でも、それは友達としての好きだ。」
クリスは慎重に言葉を選びながら答えた。
「君と一緒にいると、安心できるし、楽しいんだ。」
ノエルはクリスの答えを聞いて少し考えた後、笑顔を浮かべた。
「そうなんだ。ありがとう、クリス。」
彼女の表情には、少しの理解と共にまだ探求したいという意志が感じられた。
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やがて、二人は記憶の空間の最深部へとたどり着いた。そこには奇妙なものが浮いていた。それはノエルのコアだった。クリスが目を凝らすと、それがノエルの魂そのものであることがわかった。
クリスは何度もそのコアを見つめた。記憶の中で見た、スレイに奪われた部分が欠けているのが明確にわかった。
「ノエル、これは…?」
とクリスが尋ねると、ノエルは静かに答えた。
「これが私のコア。魂そのものなんだ。」
ノエルはコアを見つめながら説明を続けた。
「これが破壊されない限り、私は生き続けることができる。でも…」
ノエルは欠けた部分をまじまじと見る。しかし、ノエル自身はスレイに魂の一部が奪われていることをどうしても思い出せなかった。
「どうして欠けているんだろう…?」
とノエルは首をかしげた。クリスはそのことをどう伝えるべきか悩みつつも、彼女の記憶の断片を理解することに努めた。
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一方、ノエルやスレイが生み出され、彼らが研究をするために過ごしているラボでは、スレイがドクター・リヴァーに質問攻めにされていた。
「スレイ。リーパーの魂の欠片はどこにある?」
リヴァーの声には焦燥と執着が混じっていた。彼にとって、その欠片はノエルを自分のものにするための第一歩であり、魂の実験にも不可欠な要素だった。リヴァーの執拗な質問に対し、スレイは巧妙にかわし続けた。
「どこにあるんだ?リーパーの魂は?」
リヴァーは苛立ちを隠せなかったが、スレイは冷静さを保ち続けた。しかし、スレイにも沸点というものがある。あまりにもしつこい問いに、ついにイライラが出てきた。
「ノエルは残りの魂をコアとして、どこかにしまっているんだ。場所はわからない!」
スレイの声には怒りが滲んでいた。彼の心の中には、ノエルに対する複雑な感情が渦巻いていた。
リヴァーはスレイの言葉に耳を傾けながら、新たな計画を練り始めた。
「ノエルを手に入れるためには、もっと別の方法を考えなければならない…。」
その目には、冷徹な決意が宿っていた。
ドクター・リヴァーは魂の知識について、スレイに問いかけた。
「スレイ、お前は知っているのか?魂に触れると、魂の持ち主がどうなるかを…。」
スレイはリヴァーの問いに驚きと困惑を隠せなかった。
「知らない…何のことだ?」
彼の声には混乱が混じっていた。
「魂に触れると、その持ち主は拒絶反応を起こすんだ。」
リヴァーは冷静に説明した。
「心身ともに影響を受ける。そのため、魂を扱う際には十分な注意が必要なんだ。」
スレイはその言葉に驚きながらも、ノエルの魂の欠片が持つ意味について考え直した。
「俺が持っているノエルの魂の欠片…それが彼女にどんな影響を及ぼしているのか…?」
スレイの心には新たな興味と葛藤が生まれた。
リヴァーは冷笑しながら言った。
「それほど気になるなら、実際に体験してみるといい。」
彼はスレイの魂を体内から引き出し、浮かび上がらせた。スレイの魂は青と赤が混ざった色をしていた。
スレイは何をする気かと尋ねたが、リヴァーはあざ笑うだけだった。
「お前に教えてやるよ、スレイ。」
その言葉と共に、リヴァーはスレイの魂に手を触れた。
その瞬間、スレイの心身が拒絶反応…もっと分かりやすく言えば、耐え難い苦痛に襲われる。そして、自身のトラウマが蘇る。生きるのが苦しくなってしまうほどに。彼の体は震え、心は混乱に包まれた。
「何を…何をしているんだ!」
スレイは叫び声を上げたが、リヴァーは冷静に観察を続けた。
「これが魂に触れるということだ、スレイ。」
リヴァーは冷酷な笑みを浮かべながら言った。「お前もこれで理解しただろう。魂の力とその影響を。」
スレイはその言葉に恐怖と怒りを感じながらも、リヴァーの意図を理解し始めた。
スレイはリヴァーに反抗し続けたが、そのたびにリヴァーは彼の魂に触れた。スレイの魂から能力の素が漏れ出し、彼の体は次第に力を失っていった。スレイは真っ白に光るその光を初めて見た。
「な、なんだこれは…。」
リヴァーが淡々と説明する。
「これは、『能力を使用するために必要な要素』とでも言っておこうか。並行世界では『MP』や『魔力』などと言われるようだがな。しかし、私は、魂から生み出されるこの力について、こう呼んでいる。」
―――エナ、と。
能力の素…エナを失い、スレイはやがて立つことができなくなり、ずるずると座り込んだ。
「何を…何をしているんだ…」
彼の声は弱々しく、苦痛に満ちていた。リヴァーは冷酷な笑みを浮かべる。スレイの魂から抽出されたエナは、煌々と力強く光る。
「これが魂の力だ、スレイ。」
リヴァーの声は冷たく響いた。スレイは絶望の中で、リヴァーの冷酷さと自分の無力さを痛感した。
「俺は…どうすればいいんだ…?」
彼の心には、リヴァーに対する恐怖と憎しみが渦巻いていた。リヴァーの冷酷な行動が、スレイの心に深い傷を残した。
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一方、ノエルの家に戻ったノエルとクリスは、スレイが持つ魂の欠片について話し合っていた。クリスは疑念を抱きながら言った。
「スレイはその魂の欠片をどうするつもりなんだろう?」
ノエルは深く考え込みながら答えた。
「スレイが魂の欠片を持っていることは忘れていたけど、それが私にどう影響しているのかは分からない。でも、スレイにとってそれは重要なものなんだろうね。」
クリスは頷きながら続けた。
「そうだね。でも、スレイがその欠片を使って何をしようとしているのかが気になる。彼の行動には、どこか危険な意図が感じられるんだ。」
ノエルの目には決意の光が宿った。
「何があっても、私たちはスレイの計画を阻止しなければならない。彼が私や君に害を及ぼす前に。」
クリスも同じ決意を胸に抱き、二人はスレイの動きを監視しつつ、次の行動を考え始めた。物語はますます緊迫感を帯びていく。
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あとがき
Mila Holly です!そろそろね、(本人も)混乱してきたと思うので、こんど近況ノートにそれぞれのキャラクター設定を書いておこうと思います!ネタバレはしません笑。
ではまたどこかで~!
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