42.195㎞
@jx500
第1話 熱くなりたい
俺の名は、佐々木圭佑 29歳
いたって普通のサラリーマンだ
高校卒業後大手企業に就職し11年目の春を迎えた
駅には真新しいスーツを着た初々しい姿の新米達が、荒くれる社会に船出する姿を見ると、11年前の自分を思い出す
田舎から上京してきた俺は、都会の路線に苦戦し満員電車に揺られ、会社に着く頃にはヘトヘトだった
そんな当時のことを懐かしく思い出しながら、船出する新米達を応援していた
このままでいいのかなぁ
最近、ふと考えることがある
新米だったことろは、毎日必死に仕事を覚え、汗水滴しながら、1日を終えるとやって来る、疲労感が心地よかった
あんなに毎日必死でやってきた仕事は、慣れてしまい、先輩達は他の部署へ異動し、気がついたら班長を任され、気づいたら心地よかった疲労感を忘れてしまっていた
仕事場の仲間たちも皆、中途で入社してきた歳上の方がほとんどだ
皆、仕事へのペース配分がわかっており、ガツガツやっていく、というわけではない
淡々と仕事をし、時間になったら帰る そんな日常だ
休日もゴロゴロして1日が終わり、ただただ時間だけが通りすぎていく
そんなある日、動画サイトをなんとなく見ていると、ロードバイクを題材にしたアニメを見かけた
炎天下の中、長距離をひたすら漕ぎ続けゴールを目指す、ラストスパートでは、声をあげ気合いを入れて必死にゴールへと漕ぎ出す
鳥肌がたった
自分が今、求めてるモノだった
情熱を捧げ、気合と根性剥き出しで、なにかを成し遂げようとする
これこそ今、求めているモノだと気づいた
中学、高校と野球部で青春を捧げてきた俺は、ずっとなにかに夢中で、情熱を捧げ、折れそうな心と身体を根性で支えてきた
もう一度、その経験を味わいたい
それから、俺は比較的簡単に始められ、1人でも出来るスポーツを探した
アニメのようにロードバイクをしてみようか
いや、なにか違う しっくり来ない
そんなことを考えながら、仕事へ向かい続けて3日目1つのスポーツがピン!と来た
それは、マラソンだった
長距離を走るマラソンは、体力と根性すべてを出して走りきる
そんなイメージが俺にはあった
中学、高校と走りに走らされ、もう2度と走りたくないと思っていたのにも関わらずだ
ちょうど、体重も増えてきているので、痩せるのにもいいかもしれない
そう、自分に言い聞かせながら、俺はランニングから始めてみることにした
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