第11話 隣人ももちろん

コンコンッ


結局手土産は無しにして、ウチと要芽さんと泉さんの3人でもう片方のお隣さんに挨拶することにした。


初めの印象って大事だからね。うん。


ガチャ


「えーと······?」


ドアを開けた少女はちょっと困惑気味だった。

そりゃまぁいきなり知らない人が目の前に現れてノックしてきたら戸惑うだろう。


「はじめまして。今日から隣に住むことになった瀬谷秀周です。」


「ひでちぃは相変わらず固いんだから〜もっとリラックスしなって〜」


泉さんはそう言うものの、ウチはやっぱり緊張してるからそうも行かない。


「ぷっ! あははっ! 何 君めっちゃ面白いねっ!!」


少女の何かに刺さったのか、彼女はお腹を抑えて女の子にしては少し豪快気味に笑った。


「よろしくっ。あたしは西にし初葉ういは。初等部からこの学院にいるから、この辺のことなら何でも知ってる。いつでも声かけてなっ!」


爽やかな笑顔、綺麗に伸びた髪をサイドテールにして動きやすさ重視の格好。西にしさんと名乗るその少女は、太陽がよく似合うような快活な女の子だった。


「君が今年唯一の男子だっけ? まぁあたしは別に男子も女子も関係無いからなっ。仲良くなれたら嬉しいぜっ」



ん···········? 今何て言った? 唯一の男子······?


あれ····他に男子っていなかったっけ····? 入学式はちょっと遅刻したから覚えてないけど、確かに言われてみれば他に男子生徒を見た覚えがないぞ····。


ウチがそんな事を考えていると、泉さんがウチの横からひょいっと顔を出す。


「そーいえばりな氏は〜? 今部屋にいる?」


「あぁいるいるっ。りな〜!」


西さんが呼びかけると、部屋の奥から何かが動く音がした。


「あれがりなだっ。仲良くしてやってくれっ」


「えっ、この距離での挨拶がデフォなんですか?」




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