第3話 私が“揺れる”訳

 実際、私は“お堅い”就職先に収まり、婚活の末に商社勤務の手堅い男性と婚約した。


 そのが4月からフィリピンへ赴任すると言う。

 それを機に結婚して付いて来て欲しいと言われて……

 揺れる筈の無い私の心は揺れた。

 その震源が……“あの人”の幼少期の写真だった。

 もちろん、今の彼と別れて、“あの人”とよりを戻そうとは思わない。

 でもあの愛くるしい顔の子供が我が子になる可能性があるのなら!!


 どうせ“あの人”は!!

 容姿以外は女にとって唾棄すべき存在なのだから!!

 利用したって構わないだろう!

 4年前には拒み続けていた“中出◇”を……「“バースコントロール”はちゃんとできているから」とOKすれば、は喜んで私の上に乗るだろう。


 だから私は、婚約者には『夏休みまでは学校を辞められない』との嘘の申告をして、子種を得る為だけに、この街へやって来た。

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