第86話

「ゴメンね待たせちゃって!!!!」



タイミング良く到着したキョーコさんが運転席の窓を開けて声を掛けて来た。



「ーーいえ、こっちこそありがとうございます。」



コウキがニコッと笑い、何もなかった様に返事をする。



「さ、皆早く乗ろう」


そして車のドアを開けて俺たちを促す。



野々村夏実は俺を掴んだ腕をそっと離し、


「お母さんありがとう。」と言いながら助手席に座った。



俺は背中で眠っているエマをコウキと一緒にそっと降ろし、チャイルドシートへ移動させる。



「エマったら寝ちゃって…」



ゴメンねぇ、と謝るキョーコさん。



「いっぱいはしゃいで疲れちゃったみたいですね。」



何も言わない俺の代わりにコウキが会話を続けた。



キョーコさんはそれを分かってるか分かってないかは知らねぇけど、俺の方へ顔を向けて



「優くん、ありがとうね。エマ重かったでしょう?」



と問いかけてくる。



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