誰かの“働きたい”を、本気で支える人がいる。
- ★★★ Excellent!!!
12話までのレビューになります。
「地味だけど、じわじわ面白い」――そんな言葉がぴったりの作品です。
人材派遣会社のリクルーター・高山忍を主人公に、派遣登録者たちの希望と、企業側のニーズを調整していくお仕事小説。現実に根ざした舞台設定と、鋭い観察眼が光る一作です。
特に印象に残ったのは、高山が求職者の希望と企業の条件とのギャップを埋めようと、言葉を選びながら説得していく場面。高圧的でも媚びてもいない、絶妙なバランスの会話が本当にリアルで、「ああ、こういう人、職場にいたら信頼できるだろうな」と素直に思いました。
また、同僚とのテンポの良いやりとりも見どころで、高山の頭の回転の速さや仕事への姿勢が自然と伝わってきます。ただの“できる女”ではなく、誠実さと冷静さを持ち合わせた魅力的な人物像がしっかり描かれているのが嬉しいところ。
物語が進むにつれ、高山は成績不振の営業所へ“テコ入れ”として異動しますが、そこで直面するのは数字以上に厄介な「人間関係の問題」。
静かな展開ながら、人の感情の機微や職場のリアルな空気が丁寧に描かれていて、派手さのない“お仕事の戦場”に引き込まれていきます。
今後、高山がどうやってその職場の空気を変えていくのか。派遣業界というテーマに興味がある人はもちろん、実直な登場人物たちの言葉に耳を傾けたい人にもおすすめです。