ダンジョン再攻略×VTuber=?



ゲームが好きなので題名の「ダンジョン」に惹かれて拝読しました。
日頃はカクヨムに登録せず読んでいたのですが、貴方の作品を読んでどうしてもレビューを送りたいと思い、今回初めて登録しレビューを書きました。




感想です。
まず、主人公・獅堂ライガがVTuberになった経緯や動機、バトルモーションや心情描写がとても分かりやすく、すっと入ってきました。
また、ARシステムに着目した設定も斬新です。
実際の動きに3Dアバターを重ねることで、ダンジョン内でキャラクターが画面から飛び出したかのようなリアルなアクションを見せる……ファンからすれば夢のような光景でしょう。
さらに、モンスターを調理して食べるシーンでの心情による食レポ、ドロップアイテムの扱いを現代的な感覚で説明している点もなるほど…と納得させられました。
分かりやすさ、革新的な技術設定、ダンジョンと現代との親和性、これらが貴方の作品の大きな強みだと感じました。


ただ、これだけは言いたいのです。

ひとつめは咀嚼音の台詞化について。
文中で「もぐもぐ」などの咀嚼音が台詞として書かれている点が、非常にもったいなく感じました。
せっかく物語に没頭しているところで、咀嚼音の台詞化が没入感を損ね全てが掻き消されてしまう。
「はふはふ」など、状況が伝わるものは問題ないと思いますが、「もぐもぐ」をキャラクターが言う形にするのは読者を萎えさせる可能性があります。
もしフェチ的意図があるのであれば止めませんが、そうでない場合は再考をおすすめします(この「もぐもぐ」を見て☆にしました)






ふたつめは ARシステムの説明補強。私は事前知識があったため理解できましたが、ARに馴染みのない読者には内容が少し難しく感じられる恐れがあります。
そこで現実のARとの違い、通信環境やダンジョン環境との整合性など、もう少し例や補足を加えることで、貴方の強みである分かりやすさがさらに生きると思います。




そしてみっつめ。
「おしがま」のくだりについてです。

これは個人的感想となるのですが、第1部の11話で社長が「おしがま」に触れる場面がありましたが、あれは正直に言うと楽しめませんでした。
あの場面、何が楽しくて書きましたか?
ちょっとしたネタ枠でもそれは控えた方がいいかと思います。
というのも社長という、タレントのリスク管理を担う立場の人物が、炎上対策の相談シーンでそのような発言をするだろうか?という疑問があります。
冗談として書きたい意図は分かりますが社内で他者に聞かれるリスク、エンタメ企業のコンプラ観点、読者の誤解を招く可能性などを踏まえると、創作とはいえ慎重な描写が望ましいと感じました。
創作とはいえ、エンタメ業界舐めすぎです。
VTuberについて書くなというわけではありません。
リアルティに描写する必要はありませんが、VTuberの運営会社である事務所が推奨していると誤解を生むだけでなく、侮辱と受け取る方もいます。
創作だと割り切れる人もいれば、割り切りれない人もいるのです。


創作内容を変更しろというわけではありません。
ですが作中で実際に着手していないとはいえ、「おしがま」という表現がある場合についての注意喚起がありませんでしたね?
「おしがま」という表現に嫌悪感を抱く読者も少なくありません。
私のように読んでびっくりして不快に思う方もいるでしょうから、対策として「おしがま」という表現がある場合についてタグ付けやセルフレイティングによる「性描写有り」のラベリング設定が必要かと思います。
理由としては、カクヨムの利用規約やガイドラインに「青少年や特定の表現を苦手に感じる方に向けてこの小説にはそう言った表現が含まれることを読む前に伝えることができます。小説を読まれる方が不必要に不快な思いをされないように、適切な表示選択をお願いします。」とあるのです。(こちらは一部コピペしました)
利用規約やガイドライン、読みましたか?








































他にも、第2部85話・86話のお好み焼きの場面についてです。
ライブ中とはいえ、社長さんの
「どっちもお好み焼きじゃないの?」(関西風とか広島風とか違いがわからないのよね、も人によっては言及されると思われます)や「でも、関西風と広島風のお好み焼きを作って勝負する企画なのよね?それじゃ、最初から違う種類のお好み焼きって認める事になるのではないかしら?」といった発言は、読み手によっては敏感に受け取られる可能性があります。



特に、関西風と広島風のお好み焼きは、それぞれの地域に深い愛着や誇りがある料理です。
そのため、社長という“発言に影響力のある立場”のキャラクターがこうした言い回しをすると、現実のVTuber業界やエンタメ業界に照らしても、炎上発言と受け取られてしまう危険性があると思われます。
もちろん創作としての描写に問題があるわけではありませんが、読者の中には「地元文化を軽視された」と捉える方もいるため、少し慎重さがあってもよいと感じました。









最後に。
上記で色々書きましたが、それでも貴方には良いところもあります。
その中でも特に素晴らしいのは、「今もなお書き続けている」という点です。
第2部まで執筆されていることからも、強い情熱を感じました。
その熱意があれば、さらに良い物語に磨かれていくと信じています。
これからも創作を楽しんでください。

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