永久器官のゆびきり食卓

望乃奏汰

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「小指は約束の指だから。他の指は信用ならない。」


そう言いながら未明は架住の左手首を掴んで口元へ運ぶ。そしてそのまま小指を口に含んだ。生温かく湿った感触が伝わってくるのも束の間、指の内側に鋭い痛みが走る。


薄い皮膚と肉と血管が裂ける感覚。

深く刺さった歯が骨に当たる感覚。

這い回る舌先は幾度も傷口を抉る。


そこだけがひどく熱を持ち、痛みそのものを受容する器官と化してしまったかのようだった。


架住はそれを見ることが出来ない。

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