共鳴:あなたの神経で息をする

まさか からだ

第1話 沈黙の骨

会話はいらない。

私はあなたの沈黙の骨を、

一本ずつ舌で数えたい。


冷たくて固い、あなたの輪郭。

無言でしか、真実は滲まない。


笑顔もいらない。

あなたの怒りの神経を、

私の欲望で丁寧にほぐしてあげたい。


その震えを、

私は蜜のように飲み干したい。


「愛してる?」

そんな言葉じゃ、

私の執着は乾かない。


言葉よりも、

あなたの皮膚の裏側に宿る

ひそかな疼きを嗅ぎ分けたい。


あなたの中の私を、

私の中のあなたで満たしたい。


もう境界なんて、どうでもいい。

私とあなたの骨が、

一度砕けて、混ざり合って、

ひとつの肉体になればいい。


愛とは、

理性を断ち切ったあとの、

静かな合掌。


血と祈りの、交差点。

沈黙の骨で奏でる、私だけの神話。

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共鳴:あなたの神経で息をする まさか からだ @panndamann74

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