禁忌に指を伸ばして
まさか からだ
第1話 狂愛
触れるなと言われた場所ほど
私は深く、爪を立ててしまう
ひとの奥に潜む、闇のような光
その震えを、鼓動を、
どうしても確かめずにはいられなかった
あなたの瞳の奥に沈んでいるものは
私の知らない私
私の知らない「死」
それを見て、私は確かに、生きていた
——愛するということは、
あなたの皮膚の裏側に、
そっと指を差し入れることだ
一線を越えて
骨と骨がぶつかる距離まで近づいたとき
私は、あなたの名を忘れ
あなたの痛みを、自分のものとして泣いた
狂気のようなこの愛は、
優しさの仮面をかぶらない
ただ、徹底的である
深くて、具体的で、どうしようもなくリアルだ
私の心臓は、あなたの心臓に寄り添いたがる
同じリズムで脈を打ち、
同じ絶望で苦しみ、
同じ希望で震えたいと願ってしまう
——でも、ふたりは永遠に、
完全には交わらない
だからこそ、
私は今日もまた、
あなたの中の「私」を探してしまう
それが、愛というものだと信じてしまったから
禁忌に指を伸ばして まさか からだ @panndamann74
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