第14話 『ハチミツノート 抜粋ページ』

──後輩がページをめくる、記録と記憶の再現。



【ページ3|葵】

「甘さの正解は、ひとつじゃない。

この町の風も花も、みんな違う甘さを持ってる。

だから、誰かの“これ好き”が、きっと答えになる」



【ページ7|沙良】

「うまくいかなくても、笑ってくれたらそれでいいって、

そう思えるスイーツって、いいなあって思いました。」



【ページ12|柊】

「数字じゃ計れない熱がある。

このチームの空気は、きっと“味”になる」



【ページ15|試作メモ】

・栗蜜は主張が強すぎる?

・プリン底の林檎ピュレ、少しだけ焦がすと香ばしさUP

・甘さ→香り→ほの苦→余韻、の順で味が変わるよう設計



【ページ25|葵】

「ばあちゃんに『やさしいね』って言ってもらえた。

その一言が、たぶん一番うれしかった」


【ラストページ|手書き寄せ書き】

「味は、想いのかたち。

いつかこのノートを読んだ誰かが、新しい甘さを作ってくれますように」

(プロジェクトメンバー一同)


——このノートは、味の記録であり、心の記録。

それは風のように見えないけれど、

誰かのなかに、きっと“やさしさ”として残っていく。

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