1105

 ひかりとの楽しいデートを終えた後、俺は家で佐藤に言われていたことものを探していた。


「あ、そうだ。今のうちに確認しておかないと。スマホの中」


 えーと...1105と。


「お、開いたぞ!」


 まず待ち受け。それは真っ黒だった。つまり、デフォルト状態のまま俺は放置していた。

 次に写真...だが、またも何も無い。

 じゃあ、カレンダーはどうだろうか。デートの約束などがメモされているかもしれない。

 ...無い!なんでだ!?なんで何も...

 そう焦る俺の頭に一つの可能性が浮かんだ。


「ま、まさか、初期化?」


 偽物の彼女が、証拠隠滅のためにあえて俺のスマホを初期化したという可能性。


 設定から、初期化の履歴が無いか確かめると...あった。俺が事故にあった日だ。それなら一体誰が?


プルルルルル...


『おっ、蓮か。どうだ?誰が彼女だった?』


「...それが...初期化されてた」


『...分かった。明日は学校をさぼって一日調査しよう。それで大丈夫か?』


「ああ」


ブチッ......


 今は、1105が何の数字なのかを確かめないと。11と、05であることから、日付である可能性が高い。


 俺の誕生日は4月11日。俺ではない誰かの誕生日または、何かの記念日。


「4人のうちの誰かの誕生日、または付き合い始めた日...その線で調べよう」


 その後俺は、4人に電話をかけ、色々と聞いた。


春原ひかり

・誕生日は2月4日

・付き合い始めたのは2月28日


藤堂天音

・誕生日は11月5日

・付き合い始めたのも11月5日


榊奈々

・誕生日は4月11日

・付き合い始めたのは4月29日


無月つばさ

・誕生日は7月6日

・付き合い始めたのは11月5日


 スマホの数字と関連しているのは無月つばさ、それと藤堂天音。


プルルルル......


「はい、無月です」


『あ、私だよ。榊奈々。その...急なんだけどさ...明日デートいかない?蓮君が退院してから一回も行ってないなって思って。遊園地のチケット、友達が二枚くれたし...』


 またデートのお誘い。だが残念なことに、明日は佐藤と一日調査に使うつもりなのだ。また今度にしようにしよう。


「ごめん...明日、友達と...」


ピコン...


 Li〇eが来た。

 内容は、「明日、榊を重点的に調査したい。デートに誘ってみてくれ」

 送り主は、佐藤。

 運命が俺の見方をしているように感じた。佐藤の調査はしっかりしているし、彼の命令通りに動くのがいいだろう。


「なんでもない。行こう。俺も暇してた。待ち合わせの時間と場所はどうする?」


『えっと...ありがとう。時間と場所はLi〇eで教えるね。じゃあまた。明日のデート、楽しみに待ってるね』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る