書かずにはいられないえんぴつの魔法

 どこか小さな密室劇をそっと覗き見るような、不思議な温度感に包まれた作品でした。

「謝らないえんぴつ」というタイトルからして、まず心をくすぐられますよね。ページをめくるたびに、そのえんぴつが「心の声」を紡いでいくという発想に、思わずぞくりとしてしまいました。
 
 とりわけ、筆が止まらず、額に脂汗がにじむ場面では、まるで自分まで息をひそめて見守っているかのような感覚に。登場人物たちの淡々としたやり取りの中から、じわじわと浮かび上がる「本音」と「偽り」。短い物語ながら、読後には胸の奥がざらりとするような余韻が残りました。

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