第11話 君が歌うコンサートを
- PM:12時55分 ケヤキの木の下 -
オオルリのコンサートを見にわいわいがやがやとたくさんの鳥達が参加しているようだ
「おっ、あと五分だな」
「そうだな、とっても楽しみだ」
ベニマシコとアカショウビンが楽しそうに会話している。だがその後ろでは
「うーん……可笑しいですねぇ
いつもなら既にオオルリ様が現れる準備をされているのに」
「……なんか会ったのか?」
キクイタダキと招待されていたセミ丸達が心配そうに立っていた
「あっ!なんかスタッフの鳥っぽいのが出てきたわよ!!」
オオルリと似ている鳥、コルリだろうか
舞台の真ん中に立ち観客達に状況を伝える
「えー!! 観客の皆様!! 申し訳ございません!!💦オオルリ様はまだ到着していないようですので予定よりも遅れる事になってしまいます!!!!!!💦」
ええええええええええ!? と観客の鳥達
その中には「ふざけんな-!!」
「木の実かえせー!!」
と怒鳴る一部も
「代わりとは言ってはなんですが…オオルリ様が来るまでこのコルリが一発芸を…!!」
「いらねーよ!!!!」
大勢のツッコミがケヤキの木にこだました
~ 一方その頃 ~
「えっと…君はもしかしてオオルリ?」
コンサート会場に向かっていた羽音は通り際でこのコンサートの主役、青と黒のコントラストが美しい世界三大鳴鳥の1羽【オオルリ】と出会っていた
「う、うん……君は?」
どうやら右の羽に傷を追って飛べなくなっていたようだ
「僕は羽音、君のコンサートを見に行こうとしているお客の1羽だよ」
「そ…そっか」
ふふふと申し訳なさそうに笑うオオルリ、取り敢えず木に寄りかからせリラックスさせた
「その傷はどうしたの?」
「うん……」
オオルリは事情を話した
コンサート会場に向かう途中、ハヤブサの辻斬りに合って落ちてしまったのだ!! そして右の羽に傷が出来たのである。
「痛くて飛べないんだ」
必死に堪えていたのか、話を打ち明けた途端ポロポロと涙を落とす
「これじゃもう間に合わない……ずっと練習してきたのに皆の前で歌えない……
ごめんね、みんなぁ……」
泣き続けるオオルリ、その涙にはファンへの申し訳なさと歌いに向かえない悔しさが混ざっているように見えた
「………」
暫く黙っていた羽音だが、何かを決心し
「よし」
「それじゃあ僕、薬を買ってくるよ」
「……へ?」
きょとんとするオオルリ
キジ乃原さんから聞いたことがある
ここから東に飛んで約1時間、このバールド唯一の薬屋さんがあると
そこにいるアオバズクはどんな傷でも治してしまう薬を作るプロの薬師と
その鳥に合えばきっとオオルリの傷も治せるかもしれない
「アオバズクさん、私も聞いたことある……け、けど!!どのみちコンサートには間に合わな…!!」
慌てるオオルリ、そんな【彼女】に僕はフッと笑い
「…… - 大丈夫」
「ほんとのファンなら推しが来るのが遅くたってずっと待っててくれるよ」
「あ……」
「それにその間の時間稼ぎなんてスタッフにでもコントやらせときゃ良いんだ!! てなわけで行ってくる!!!!!!」
「え!?あっ、ちょ💦」
そう告げて飛んでいく羽音
「1時間の所を20分で帰ってくるから待ってて-!!!!!!」
最後にそう言ってアオバズクの薬屋に向かった
「………」
嘴を開けたままポカーンとするオオルリ
すると
「………きゅん」
おやぁ?
- その頃 ケヤキの木の下の会場 -
「つまんね-んだよ!!」
「引っ込めえええ!!エセルリ!!!!!!」
「ちょっとおおお!? エセルリは酷いですってぇエエエエ💦💦💦💦」
色々と投げられるコルリ、コントはくそつまらなかったみたいだ
「……どうします? 私達も探しに行きますか? 羽音君もいないみたいですし」
「……いや」
キジ乃原さんの言葉に首を横に降るセミ丸とキクイさん
「私達はファンです!!」
「ファン足るとも!!推しが遅くなろうが何があろうが最後まで信じて待つ!!!!
それに羽音もいないって事は……そう言うこったろ?」
「セミ丸くん…キクイさん…わかりました
私も待ちますよぉ!!(о´∀`о)」
セミ丸の言葉の裏に同時に羽音への信頼も伝わりキジ乃原さんは安心して頷いた
エナも「全くみんなバカなんだから」と笑みを浮かべて待ってくれるみたい
「うわあああああああん😭 オオルリ様速くきてえええええええ!!!!!!」
そろそろ限界が来たコルリは泣き叫ぶ
その時だった
「おや? どうやらあたい達のダチがピンチになってるみたいだねぇ」
「うふふ♪ なら、ここは オオルリさんと同じ世界三大鳴鳥の私達にお任せあれ♥️」
そう言って舞台に立つ2羽の鳥
「あぁ!?あなた達は」
びっくりするコルリ、目の前には
「この燃える紅の世界三大鳴鳥【コマドリ】と‼️」
「白き和の世界三大鳴鳥【ウグイス】が
時間を稼ぎますわ~♥️」
うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!
オオルリに並ぶ世界三大鳴鳥の2羽、コマドリとウグイス
この2羽の夢のような並びに観客の歓声が一斉に湧いた!!!!!!
「マジかよ!!!!!!コマドリちゃんかっけえええええええ!!!!!!」
「はわぁ~♪ ウグイス様今日も美しいです~♪」
その観客達をみていたキジ乃原さんもホットし
「…ふぅ、何とか間は取れそうですね
助っ人に呼んでおいて良かったですよ😅」
いやあんたが呼んだのかよ(なんだこのキジバト)
~ その頃羽音 ~
「……維持を張ったものの」
いつもより全力を出して飛ぶ羽音、しかし中々20分まではきつくねー?と思っちゃう
「な-んでかっこつけちゃったかなあ~」
飛んで10分、そろそろ疲れてきた
「うーん……」
【情けない】そんな言葉が羽音の頭によぎる
すると下にある影が見えて
「……あらぁ?」
「うおおおおおおお!!!!!俺は速いぜええええええええええ!!!!!!」
「あれって」
このバールドのタクシー【エミュ-タクシー】だ!! しめた!!
羽音はエミュ-の所へ飛んでいく
「あの!すみません!!」
「おおん?」と足を止めるエミュ-、キキキー!!とブレーキをかける音がなったのでまるで車やんけ
「おお!! あんたはキジ乃原んとこの!!」
「あーはい、そのぉ、かくかくしかじかで」
羽音は状況を説明する
「……って訳なんですけど……5分で行けちゃったりします?」
その言葉にがーっはっはっは!!と大笑いするエミュ-
「5分どころか1分で行けちゃうぜ! アオバズクの薬屋だな? よーし乗った!!」
「わっ!!ありがとうございます!!」
エミュ-の背中に乗るシジュウカラ
なんだこれ
「おーしっ、ほんじゃあ……
ぶっとびますか!!!!!!」
びゅん!! とまるで新幹線以上のスピードで走るエミュ-
「うわあああああ速い!! これなら間に合う!!!!!!」
「おりゃおりゃおりゃおりゃ!!!!!!」
急カーブ
「ひゃっはあああああ!!」
「ぎゃあああああああああ!!!!」
崖から落下!!
「わっほーい!!」
「ひいいいいいい!!!!!」
水の中!!
「修羅の道!! 修羅の道!!」
「あぶぶぶぶ!!!!!?」
それからも様々な厳しい道を乗り越えて
「…ってなんでこんな厳しい道を!?」
「…だってこのルート」
チラッと横に見えた看板を見るエミュ-
「【おもしれー遊歩道】だもの」
「面白くねーよ!!!!💢」
ジジジピーツピ!!!!!!!!と僕はキレた
~ その頃のオオルリ ~
「…………」
目をつむり大人しくしているオオルリ
すると奥からドドドドドと激しい音が聞こえて…
「…え!? わっ!?💦」
キキキキキー!!と足を止めるエミュ-、そして薬を加えて戻ってきた羽音も笑って
「言ったでしょ? 20分までには戻るって!」
「………!!」
唖然とするオオルリ、それでも貰った薬を塗って
「……飛べる!!」
けど間に合わない!!
それを見かねた羽音は
「……エミュ-さん、追加料金で!!」
「へっ」
「しゃーねーなあ!!」
「え?」
オオルリを背中に乗せるエミュ-
「飛ばすぜええええええええええ!!!!!!」
「ひゃあああああああああああ!!!!!?」
~ ケヤキの木の下のコンサート会場 ~
「🎵🎵🎵🎵🎵🎵‼️‼️‼️‼️」
「♪♪♪♪♪♪♪~」
コマドリの情熱的な歌とウグイスの桜が枚散るような和曲が沢山の鳥達を沸かせている…が
「(まずいな…持ち歌もうねーぞ)」
「(オオルリさん、速く来てください…!!)」
万事休すの2羽
その時
「……♪~♪♪♪」
「ん?なんだ」
「何処からか歌が」
何処からともなく聞こえる歌、それは美しきシンフォニックだ
すると1羽の孔雀が空を羽差し
「見て!上よ!!」
見上げる鳥達、そこには
「♪♪♪♪♪~!!」
華麗に飛び会場に舞い降りる青く美しきオオルリの姿があった
「……オオルリさんだああああああ!!!!!!」
「きたあああ!!!!!!!!!!!!」
キクイさんもセミ丸も大声で喜ぶ!
ステージに達はオオルリは呼吸を整え一言
「みんな…遅れてごめんね
世界三大鳴鳥が揃った奇跡のコンサート……
最後まで聴いていって!!!!!!」
うおおおおおおおおおおおおおおおお!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
沢山の鳥の叫びがバールド全体に響いた!!
「ふぅ、何とかなった」
「羽音!?」
後ろから飛んできた羽音に心配する仲間達
羽音は事情を話し
「…なる程な、そりゃ大変だったな」
でもま、とお手柄だと肩を叩くセミ丸
「お前がMVPだ、羽音」
「…えへへ」
照れ臭そうに笑う羽音、少し足ってから楽しそうに歌うオオルリを見つめる
「…………」
「音楽も良いもんだね」
- コンサートが終わり -
「羽音!!」
「うわっ!?」
思い切り羽音に飛び付くオオルリ
「ホントにありがとう!! 良い忘れてたけど私の名前は【ルリ】だよ!! 宜しくね!!」
「あばば…改めて羽音だよ」
その後ろで大口を開けてショックを受けてるセミ丸とキクイさん
「羽音…てめえええええ!! 羨ましいぞ」
「いやいや……」
「【男同士で】抱き合っても」
「……は?」
ポカーンとするセミ丸とキクイさん
「え?いや、あの……」
「体の色が派手な鳥は大体雄じゃないですか」
何をびっくりしてるんだと羽音
「い…嫌でも私って…」
「男でも自分の事を私って言うのはいるでしょうに」
「…………」
冷静に話す羽音の後ろで申し訳なさそうに謝るルリ
「ご、ごめんね💦💦でも良く間違われる事だから」
「…………」
「………ぶくぶく」
「きゃー!!セミ丸が泡吹いて倒れたあ!!」
叫ぶエナ、その隣で「それでもファンですよ!!」と決心を話すキクイさんと大笑いするコマドリとあらあらとウグイス
「ははは💧」
「ま、こんな日も良いな」
羽音は空を見上げて呟いた
- 数時間後とある薬屋 -
「どうですアオバズクさん…」
薬を混ぜてるフクロウ…羽音が会いに行ったアオバズクだ
アオバズクはため息を付き
「…どうもこうもないわい、【どうして人間がバールド】にいるんじゃ」
「【キジ乃原】よ」
「……ふふふ(о´∀`о)」
- 🕊️続く -
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