実に深い、それでいて半ば狂気的ともいえる思考を抱いた、主人公の独白チックな作品です。
驚くべきは、たったの一話でこれほどの感銘を読者に与える『言葉の鋭さ』だと思います。
一言一句が、難しいわけでもないのに胸に刺さります。もしかしたら、この主人公は僕なのではないか? ということまで考えさせられます。
芋づる式に、生と死、存在と非存在、善と悪と言ったテーマがどんどん現れてきます。
これは実際に、主人公に似た気持ちを抱いた著者様・読者様にしか分からないことかもしれません。
が、それでも人間は生きていくんだよなあ……。と思案する機会を頂戴した気分です。