第九章 敵地真っ只中にて

 教会に辿り着いたサクロヘニカは、少し悩んだ末に医務室へ向かった。死体の間を通り過ぎていく間も、腕の中にいるへニカはじっと体を縮こまらせている。

 片手で医務室の扉を開けば、幸いそこには目立った血痕などは見当たらなかった。ひとまず床にちらばっていたオイルランプの破片をベッドの下へ蹴り飛ばし、安全を確認してからへニカを床に下ろす。

 原初の天使に預けられたコートを肩に掛け直してやり、空いていた寝台に座らせる。

「大丈夫かい?怪我は?」

 優しく尋ねると、へニカは首を横に振った。手や足先に擦り傷を負った程度のようだ。

 密かに治癒魔法を掛けてやりながら、サクロヘニカは少女の髪を撫でた。

 白金の髪にはすっかり血がこびりついている。

 どれほどの時間あの場所に居たのだろう。

「・・・・・・少し待ってて、綺麗にしてあげよう」

 へニカの額に軽く触れるようにして、目を閉じる。

 ――ぼんやりとした魔法式が、もやのように煌めく。

 魔力が緩やかに水脈を成し、そよ風のようにへニカを優しく包み込む。凝固した血液と脂が、魔力の流れによってじわじわと空中へ流れ出す。赤く染った水脈が虚空を渦巻く。

 サクロヘニカが手を握ると魔力は一箇所へ集束し、パッと掌を開けば赤く染っていたそれは瞬く間に霧散した。

 へニカに着いていた赤黒い汚れは、雨で洗われた後のように跡形もなく姿を消した。

 浄化魔法・・・・・・サクロヘニカが編み出した新たな魔法だ。

「よし、できた――えっと、どうかしたかい?」

 サクロヘニカが目を開けると、すっかり綺麗になったへニカは飛び出してしまうのではないかと思うほど鉛色の瞳を見開いていた。

「・・・・・・いまの、まほう?」

 たどたどしく言葉を紡いで、へニカは首を傾げる。

「あぁ、魔法だよ。私は魔法使いだから。見た事ないかい?」

 指先に魔力を集めて水滴を創り出して見せれば、へニカは大きな瞳を何度も瞬いた。

「すごい、きれい」

 じっとサクロヘニカの手を不思議そうに見つめるので目の前に手の平を差し出してみれば、へニカは興味深そうに手を弄びはじめた。

 小さな手指と、ふっくらとした赤い頬。冬の寒さの中でも、その手は驚くほど暖かい。見たところ三歳ほどだろうか。

 誕生日はいつだろう。好物や、嫌いなものは?

「・・・・・・もっとエイミから話を聞いておくべきだったな」

 冬の澄んだ空気を肺いっぱいに吸い込むと、胸の奥がキリキリと痛んだ気がした。


 数分ほどそうしていただろうか。

 へニカが手遊びに飽きてきた頃、部屋の外から数人の話し声が聞こえてきた。

「――――ですが――」

「――魔法の痕跡――――――」

 途切れ途切れではあるが、原初の天使の声が耳に入った。

 何かあったのかもしれない。

「少し待っててくれるかい?直ぐに戻るよ」

 寝台に腰かけるへニカにそう告げ、サクロヘニカは礼拝堂の様子を見ようと立ち上がる――はずが、へニカがギュッと手を掴んだことでそれは阻止された。

 驚いて振り向けば、不安げに揺れる鉛色と目が合った。その玲瓏れいろうな瞳には薄らと水の膜が張っている。

「・・・・・・分かった、じゃあ一緒に行こう。コートから顔を出さないでね」

 へニカが頷いたのを確認すると、サクロヘニカは再びその子にコートを被せ、優しく抱き上げた。


 礼拝堂に出れば、祭壇の近くで原初の天使と白梟の使徒たちが何やら会話をしていた。

 へニカの耳に遮音魔法を施し、その場所へ向かう。

「先生、何かあったのかい?」

「・・・・・・実は、気がかりな点がいくつかあってね」

 原初の天使はサクロヘニカに抱かれているコートの塊を一瞥し、簡単に情報を共有した。

「まず、子供たちの遺体がほとんど見つかっていない。恐らく攫われてしまったんだろう。それから、未知の魔法の痕跡が見つかっている。そしてどういう訳か、その周囲には総じて赤い花弁が散っていた」

 赤い花弁――そういえばエイミの傍にもあった。

「何らかの禁忌の魔法ということかい?」

「可能性は否めないけれど、記録に残っていないものとなると何者かが密かに編み出したものかもしれないね」

「へぇ・・・・・・」

 サクロヘニカは目を細める。未知の魔法だなんて言われれば、突き止めたくなるものだろう。

 しかしそれを見越していた原初の天使が、先手を打った。

「残りの調査はエデルヤーヌ騎士団に任せることになっている。君の出る幕はないよ」

「・・・・・・」

 エデルヤーヌ騎士団とは、調和の国において事件や犯罪の取り締まりを行っている組織だ。

 構成員には魔法使いも居るため魔法についての知識も無くはないだろうが、果たして彼らに未知の魔法の痕跡を辿ることなどできるのだろうか。

 ――いや、まず無理だろう。なにせサクロヘニカですら存在に気付かなかったような微かな痕跡だ。

 それこそ、フランマくらい感知力の高い者でないと難しいはず――


「・・・・・・私とフランマが一緒に調査するっていうのはどうかな?」


 サクロヘニカの突拍子もない発言に、原初の天使を含めた白梟の使徒たちは頭に疑問符を浮かべた。

 何故ここでフランマの名が出るのだろう。

 そんな空気を無視し、サクロヘニカは己の見解を述べる。

「エデルヤーヌ騎士団は確かに優れた組織だと思うよ。調和の国の治安が良いのは、やはり彼らの存在が大きい。ただ、彼らは魔法のエキスパートではないだろう?しかし相手の魔法使いは非常に狡猾だ。きっと簡単に逃げ果せてしまう。ならば、彼らのいたちごっこが始まる前に私とフランマで敵を捕まえればいい」


 ――教会に静寂が落ちる。辛うじて反対の声はない。

 この期を逃すまいと、サクロヘニカは渾身の一手を打った。指を唇に押し当て、怪しげな笑みを浮かべる。


「・・・・・・それに、フランマはムッシュを殺した犯人に当てがあるだろうから」

「・・・・・・どういうことだい?」

 原初の天使が怪訝そうにサクロヘニカを見つめる。

 どうやらフランマは、まだ彼女にムッシュの死の真相を明かしていなかったようだ。

「私も直接聞いたわけじゃないけど、あの様子は間違いなく何かを察してる。今朝もやけに動揺していたのは、自分の予想が当たったせいじゃないかな?」

 サクロヘニカの主張に、原初の天使は神妙な面持ちをした。少し心当たりがあるようだ。

 反撃の隙を与えぬまま一気に説き伏せる。

「やはり、この件の調査はフランマに任せるのが最適だろう。ただ相手が複数いる限り、彼一人だと危険だ。だけど先生は今回の記録を整頓するために暫く箱庭から動けない。そうだろう?」

 ――ラヴェンダーの瞳が、鋭く原初の天使を射抜く。

 原初の天使はしばしの思案の後、ようやく首を縦に振った。しかしその表情は苦々しい。

「・・・・・・いいかい、サクロヘニカ。もし君がそうしたいと言うのなら、私は手助けしよう。しかし、君はあくまで護衛として付き添って欲しい。フランマの身を守る事だけを優先し、私欲で動かないと誓えるかい?」

 原初の天使のアシンメトリーな瞳がサクロヘニカを見据える。

 その冷徹な眼差しは、サクロヘニカの真意をどこまでも見透かしているだろう。

「・・・・・・誓うよ」

 心から答えれば、原初の天使は承諾したかのように目を細めた。張り詰めていた空気が緩んだ気がする。

「では、明日から調査を任せるよ」

「明日?今日は駄目なのかい?」

 時間が経つほど敵は遠ざかるだろう。サクロヘニカが不満気な表情をするも、彼女は一切動じない。

「今日はエデルヤーヌ騎士団に調査を引き継ぎ、亡くなった者たちの弔いをする。それに、君の腕の中にいる子も安全な場所に護送しなければならない」

 原初の天使の視線を追うようにへニカを見遣れば、すぅすぅと寝息を立てていた。立ち話に付き合いきれなかったのだろう。

「・・・・・・あぁ、そうだね。この子をよろしく頼むよ」

 サクロヘニカは白金のような髪をそっと梳いた。



 その後エデルヤーヌ騎士団が到着し、白梟の使徒たちは彼らに調査を引き継いだ。

 へニカは『夕暮れの雲』に残っていた本やおもちゃと共に、聖都イツェルニエに護送された。その際サクロヘニカと離れたくないと泣いていたため、仕方なく魔法で眠らせた。サクロヘニカはあるはずのない良心が痛むのを感じた。

 一通りの調査を終えたエデルヤーヌ騎士団は、追跡班と護送班、葬送班に別れて事後処理を行った。

 サクロヘニカはそれを、一切の手抜きも許さないというように睥睨へいげいしていた。





 ――翌日。

 フランマはシュテルケ馬に乗ってウエルネルタを訪れた。サクロヘニカを乗せるための馬も一頭連れている。

 遺体こそ片付けられているが、ウエルネルタには略奪の残り香がそこかしこに漂っていた。

 建物や街路にこびり付いた黒々とした血飛沫や、激しい抵抗の跡。死への恐怖と葛藤の残影。不意に視界の端に肉片のようなものが写った。

 フランマは酷い吐き気に苛まれながら、教会へと辿り着いた。


 教会の扉の前には、サクロヘニカがぽつんと佇んでいた。何かを手の上に乗せているのか、手元をじっと見つめている。

 不意に視線をこちらへ寄越したかと思えば、パッと破顔して駆け寄ってくる。

「待ってたよフランマ。けど、まだ体調が優れないようだね」

「・・・・・・すみません」

 随分としおらしい様子のフランマに、サクロヘニカは奇妙そうな顔をする。しかし直ぐに理由に気付いたのか、「あぁ、そうか」と言葉を紡ぐ。

「君は、ムッシュの突然死を訝しんでいた。頭のどこかでは、こうなることを予見していたんだね?」

 その言葉にフランマを責めるような意図は含まれていない。しかし、彼の胸はズキリと痛んだ。

「・・・・・・全ては俺の慢心です。大事には至らないだろうと過信し、直ぐに調査を始めなかったんです」

「随分と卑下するね・・・・・・慢心なんかじゃないだろう?実際、ムッシュが死んだ翌日の夜にウエルネルタは襲われた訳だ。それほどの速さで事が起きるとは誰にも予想できないだろう」

 フランマの顔色を窺い、サクロヘニカは言葉を続ける。

「それに君は慎重派だ。事を荒立てたくなかったんじゃないかい?」

「・・・・・・」

 全くもってその通りである。サクロヘニカの洞察力には敵わない。

 フランマは深く呼吸をした。馬を降りて二頭を教会の傍に留めると、サクロヘニカに向き直る。

 ・・・・・・今回の件は、ムッシュの死に違和感を抱きながらも、早期の対応を怠ったために起こった悲劇だ。責任の一端は自分にある。必ず、その責任を取らなければならない。

「・・・・・・貴方の言う通りです。この悲劇を防げなかったのは、俺が臆病だったからです」

 例え後ろめたい気持ちがあったとしても、悲劇から目を逸らす訳にはいかない。フランマは真っ直ぐにサクロヘニカを見据えた。

「必ず襲撃者を捕まえましょう。そして、ムッシュさんの死の真相も明かします。白梟の使徒の名にかけて、此度の事件を解決してみせます」

 普段通りの冷静さを取り戻したフランマに、サクロヘニカは目を瞬いた。かと思えば、愉しげな微笑を浮かべる。

「流石フランマだ。やっぱり君はそうでないとね」

 サクロヘニカは満足気に頷くと、おもむろにフランマの眼前へ手を差し出した。その上には、真紅の花弁が乗せられている。

「それが、例の魔法の痕跡ですか?」

「そうだよ。これが街のあちこちにあった」

 サクロヘニカが言うには、この未知の魔法を使用した者は一人だけだと考えられるとのこと。またこの魔法によって殺されたと思われる遺体には、切り裂かれたような裂傷が散見されたことから、意図的に人体に害をなすため編み出された魔法かもしれないのだという。

「なるほど・・・・・・そのような魔法を使える者を野放しにはできませんね」

「あぁ、全くその通りだ」

 サクロヘニカはため息をつくと、おもむろに広場の方向へ歩き始めた。

「サクロヘニカ、どこへ?」

「実際に魔法が使われた場所に行った方が早いだろう?あぁそうだ、馬も連れていこう」

 思い出したかのように指を鳴らせば、シュテルケ馬がサクロヘニカの方へ駆け寄った。いつの間にか馬の扱いも随分と上達している。

「行こう。私も痕跡を追おうとしたが、結局見つけられなかった。君の力が必要だ」

「・・・・・・えぇ、任せてください」

 頷けば、サクロヘニカは安心したように微笑んだ。


 サクロヘニカに案内されたのは、先程も通り過ぎた広場であった。バリケードのようなものが築かれた痕跡と激しい争いの跡が残っている。

 サクロヘニカは馬を降りると、真っ直ぐに『夕暮れの雲』へ入っていった。それを追ってフランマも店に入れば、荒れ果てた店内が二人を出迎えた。暖かなパンの匂いや人々の笑い声が、忘却の彼方へと遠ざかっていくのを感じた。

 サクロヘニカは淡々と当時の状況を説明する。

「この入口の辺りでシーチカが喉を貫かれて死んでいた。エイミは休憩室の床の上で心臓を刺されて死んでいて、その下の収納庫にへニカが隠れていたんだ。誰かを守り通して死ぬなんて、彼らしいよね」

 何でもないように話すサクロヘニカに、フランマは複雑な思いがした。神獣と人とでは価値観が違うことは分かっている。しかし、あまりにも平然としているその姿に、少し胸が痛んだ。

「ほら、ここだ。エイミの遺体はもう埋葬したけど、花弁はまだ残っている」

 サクロヘニカが指さす場所を見れば、確かに赤い花弁が散乱していた。それと同時に魔法の痕跡も感じる。

「調べてみましょう」

 フランマは床にしゃがみこむと、指先を花弁に触れた。

 意識を集中させ、目に見えないものを感知していく。


 ――独特な魔力の波動。それから魔法式のようなものを感じる。

 数人分の足跡と、匂いや息遣い。草臥れたウールの外套を身に纏った人物が見えた。

 さらに感覚を研ぎ澄ませる。

 詳細な姿は感じ取れない。しかし数人の残影の中に、杖を持った人物が居たようだ。恐らくその者が魔法使いである。

 フランマはさらにその者の痕跡を辿り始めた。

 エイミを殺し、裏口へ向かっている。杖に着いた血を振り払っている――その時、不意にざわめきが聞こえた。

 床から視線を上げれば、その者が向かった方向へ漂う白い靄のような存在と目が合った。

 ・・・・・・精霊だ。フランマを案内するつもりらしい。


「・・・・・・大体は掴めました。早速追いましょう」

「えっもう分かったのかい?」

 驚いた様子のサクロヘニカの横を通り、裏口に向かう。

 よく目を凝らせば、精霊はウエルネルタの北西に向かっているようだった。

「襲撃者たちはあちらに向かったようです。急ぎましょう」

「分かった。なら馬を連れてくるよ」

 サクロヘニカは一度広場の方へ戻ると、ものの二分程で馬を連れて来た。二人はその背に跨り、街路を駆け下りる。

 荒れた白雲麦畑を抜け、舗装された道が途切れる。

 ――ウエルネルタが遠ざかる。フランマにはそれが、どこか寂しく感じた。



 暫くの間馬を走らせていると、次第に馬車の車輪の跡ようなものが見え始めた。恐らく街からここまで隠匿魔法で隠していたのだろう。

 周囲を舞う精霊の数はいつの間にか増え、先を急がせるように慌ただしく彷徨っている。

 きっと彼らは、ウエルネルタの亡者たちだ。フランマの行く末を見張っている。

「・・・・・・見ていてください。必ず、襲撃者を白日の元に晒します」

 小さな声で呟いて、フランマはさらに先を急いだ。


 精霊たちを追っていくうちに車輪の跡は突然方向を変え、道無き道を進み始めた。

 そこには折れた枝や潰れた木の実が散見される。

 隠匿魔法を使っていなかったようだ。あるいは、魔法を使う余裕もないほど急いで逃げたのかもしれない。

 木が生い茂る道を駆ける。次第に空は色を変え、辺りが薄暗くなり始める。

 サクロヘニカは明かりを灯そうとしたが、敵に見つかる危険が高まるためフランマが制止した。しかし、灯りがなくては馬を走らせることは出来ない。

「ここからは馬を降りて進みましょう。恐らく相手はどこかに野営地を築いているはずですが、魔法で隠されているでしょうね」

「まぁ、そうだろうね。それにこの辺りには魔法の跡が微かに残ってる。敵はそう遠くないだろう」

 二人は馬を降り、手網を引いて進み始めた。ガサガサと枯れ木を踏む音が辺りに響く。

 こちらも隠匿魔法を使ってはいるが、どこかに罠などが仕掛けられていれば気付かれる可能性がある。フランマは警戒を強め、隠匿魔法に集中した。

 張り詰めたような沈黙の中、先程まで静かだったサクロヘニカが不意にフランマへ言葉を投げかける。

「・・・・・・そういえば、敵を見つけたらどうすればいいんだい?」

「・・・・・・はい?」

 後ろを振り返れば、あくまで心からの疑問を口にしただけであろうサクロヘニカが目に入った。フランマの困惑顔を見ると、彼女は不満げに眉を寄せる。

「仕方ないだろう?先生には『フランマを守るように』としか言われていないんだから」

「・・・・・・そうでしたね。貴方は戦闘経験も無いわけですから、無理もありません」

 フランマは一呼吸置いて、再び足を進めながら口を開く。

「相手は恐らく大人数、それも武装しているでしょう。まずは敵の動きを封じるのが先決です。相手の動きを封じる魔法はいくつか使えますよね?」

「もちろん。先生に何度も教わった」

「では、貴方はその魔法と防衛魔法だけを使ってください。多少手荒でも構いませんが、命だけは取ってはいけません」

 ふと、サクロヘニカは不思議そうに首を傾げた。

「どうして殺してはいけないんだい?向こうはエイミやシーチカを殺しているだろう」

「それは――」

 フランマは一瞬だけ逡巡した。恐らく彼女に人の道理を説いたところで、価値観が違うのだから上手く伝わらない。

 慎重に言葉を選びながら、フランマは言葉を紡ぐ。

「――人を殺せば、罪に問われます。だから貴方が手を汚すべきではない、という理由もありますが・・・・・・人々には『贖罪』という概念があります。罪を犯したものに、その罪を償わせる為のものです」

 周囲に気を配りながら、話を続ける。

「人を殺し略奪を行うというのは、非常に重い罪に問われます。それこそ、貴方が直接手を下した所で償いきれないほどでしょう。ですから、彼らを生きたまま捕らえてエデルヤーヌ騎士団に明け渡し、長い時を掛けて罪を償わせる必要があります」

 そっとサクロヘニカの様子を横目で盗み見る。彼女は考え込んでいるようだったが、まだ納得はしていないらしい。

 あまり気は乗らないがもっと踏み込んだ話をする必要がありそうだ。

「・・・・・・恐らく、ウエルネルタを襲ったのは各国を渡り歩いている大規模な強盗集団です。となれば調和の国ではなく、天命の国の天戒審判所てんかいしんぱんしょで裁かれます。天命の神の御前では、どんな罪も許されることはありません――再び同じような悲劇を起こさないために、審判所は彼らに見せしめのような罪状を突きつけるでしょう。尋問によって仲間や協力関係にある組織を一網打尽にし、人の尊厳を踏みにじるような処罰が下されます」

「・・・・・・なるほど、何となく理解したよ。ここで殺すよりも酷い目に遭わせるってことだね」

 概ねその通りではあるが、肯定はしないでおいた。サクロヘニカもそれ以上追求することはなく、フランマの隣を黙々と歩いていく。

「・・・・・・では、作戦を練りましょうか」

「作戦?」

 再び首を傾げたサクロヘニカに、フランマは薄らと微笑むと今回の作戦を共有した。



 ――やがて夜の帳が降り、冬空に三日月が浮かび上がった。

 冬の寒さが体を芯から冷やしていく。しかしそれは、襲撃者たちに対しても同じだ。

 精霊たちはフランマを導くようにして漂いつつも、時折その場で停止したり怯えるような素振りを見せた。敵が近いのかもしれない。

 そう思ったその時、サクロヘニカがフランマの手を強く引いた。

「サクロヘニカ?どうしました?」

「声がする。かなり大人数だ」

 サクロヘニカは目を細め、周囲を見渡した。人影や焚き火の光は見えない。

「・・・・・・辺り一帯に隠匿魔法が張られています。気付かれない程度に相手の魔法を弱らせましょう」

 気取られぬよう密かに魔力を張り巡らせ、敵の魔法を弱めていく。

 ――木々のざわめきに紛れて、人の声が聞こえ始めた。ぼんやりと灯りが浮かび上がる。

 予想は的中した。ここは襲撃者たちの野営地で間違いない。

「サクロヘニカ、作戦通りに行きましょう」

「もちろん」

 フランマは馬を木に繋ぎ、目線を低くして灯りへ近付いた。サクロヘニカもそれに続く。


「――金は――――」

「――――だろ」

「――おぉい!早く持って来やがれ!」

 荒々しい怒号や、品のない笑い声が聞こえる。二人はちょうど小高くなった丘の上に居たようで、野営地を見下ろすことが出来た。

 メラメラと燃える焚き火が野営地を暖かく照らしている。倒木やガラクタを使った即席の椅子が雑然と据え置かれ、付近には大勢の人影が見えた。

 その場だけでざっと四十人は居るだろう。ウールの外套を身にまとい、酒瓶や干し肉を手に騒ぎ立てている。

「俺が一番殺したんだから俺の分け前を増やしやがれ!」

「お前が暴れたせいですぐ自警団にバレたんだろうがよ」

 大柄な男が声を荒らげて叫べば、近くに居た男たちが胡乱な目を向ける。その向かい側では立派な体格をした女が剣呑な会話を交わしている。

「そういえばあのガキはどこに売るつもり?」

「いつものとこでしょ。そんなことよりデルゼイはどこ行ったわけ?あいつの分の酒がもう無くなるわよ」

「あんな陰気なやつ放っておきなさいよ」

 空の酒瓶が地面に転がり、ちらちらと炎の光を反射している。

 焚き火から離れた場所には天幕が設けられ、複数人が折り重なるように雑魚寝しているのが見える。

 天幕の近くには荷物が無理に詰め込まれた馬車が三台。さらにその奥には、人を積むための檻車かんしゃが停められていた。

 サクロヘニカはじっと目を凝らしてその様子を観察する。

「・・・・・・フランマ、あの中に子供がいる。ウエルネルタの子だけじゃなさそうだ」

「・・・・・・本当ですね。恐らく、まとめて奴隷商に売るつもりでしょう」

「奴隷・・・・・・」

 サクロヘニカは、檻車に冷ややかな眼差しを向けた。フランマはそれを横目で見遣りながらも、情報収集を続ける。

 魔法使いの姿は見当たらないが、それは寧ろ好機でもある。

 敵の人数と配置は掴めた。あとは取り押さえるだけだ。

「気付かれる前に仕掛けましょう。俺は魔法使いを探すので貴方は・・・・・・」

 ――刹那、強烈な殺気を感じた。

 凄まじい狂風が背後から迫ってくる。


「フランマ!」

 サクロヘニカが咄嗟に防衛魔法を展開したものの、あまりの突風に二人は眼下へ吹き飛ばされた。

 強かに体を打ち付け、腕に鈍い痛みが走る。

「――なんだ!?」

 男の声が響いた。あの大柄な男のものだ。

 ハッとして顔を上げれば、そこはパチパチと音をたてている焚き火の目前。

 まさに敵の野営地の真っ只中であった。

 強盗たちは、突如吹き飛んできた二人を目を見開いて凝視している。

 フランマはすぐさま体勢を立て直し、魔法を展開する。

 サクロヘニカもよろめきながら立ち上がった。

 二人の眼前にいた大柄な男は、次の瞬間怒りで顔を歪ませ荒々しい咆哮を上げた。

「侵入者だあああぁぁっ!!!!」

 その叫び声を合図に、武器を抜いた襲撃者たちが一斉に襲いかかってくる。攻撃を受ける前にフランマは素早く防衛魔法を張る。


 ――パリン。


 瞬間、呆気なく魔法が霧散した。

 魔力の気配を感じ、フランマは先程自分たちが居た丘の上を勢いよく振り返る。

 そこにはフードを被り、杖を持った人物が居た。

 その杖先はフランマに向けられている。防衛魔法を相殺されたのだ。

 鎌形の刀剣が眼前に迫る。

 咄嗟に別の魔法を発動させようとする――が、幸いにもその必要は無かった。


 目の前の男は、刀剣を振り上げた姿勢のまま凍り付いたように動かなくなった。その表情には、驚愕がありありと浮かんでいる。

「危ないよ、フランマ」

 サクロヘニカの声が聞こえると同時に、あちこちから悲鳴のようなものが上がった。見れば、誰も彼もが何かに縛り付けられたように硬直している。

 よく目を凝らせば、魔力の鎖のようなものが薄らと浮かび上がって見える。

 大柄な男が、悔しげな呻き声を上げた。

「・・・・・・不可視の鎖ですね、助かりました」

 彼女の魔法の才に感謝しつつ、フランマは先程魔法使いが立っていた場所を鋭く睨みつけた。

 そこには誰の姿もない。気配も感じない。

 隠匿魔法の腕なら、フランマに負けず劣らずといったところか。

「同じ轍は踏みません」

 フランマは神経を研ぎ澄ませ、精霊たちの動きを読み取る。

「精霊たち・・・・・・敵の位置を知らせてください」

 ふいに、応えるように馬車のすぐ側で精霊が瞬いた。フランマは即座に捕縛魔法を発動する。

 しかし寸前で勘づかれた。相手はほんの数瞬早くそれを回避すると、杖を振り上げる。

 魔法式が発動する。それはウエルネルタで見たものと同じだ。

 フランマは隠匿魔法で所在をくらませ、防衛魔法を張り巡らせる。鋭い風切り音が耳のすぐ傍を掠めた。命中はしていない。

 フランマは再び反撃体制を取った。

 ――しかし魔法を発動する直前。背後からサクロヘニカの呻き声が聞こえた。

 弾かれたように振り向けば、フランマのすぐ後ろにいたサクロヘニカは左肩を抑えていた。ケープにじわりと血が滲んできている。苦しげに顔を歪ませ、彼女は唇を噛んだ。

 サクロヘニカの鎖に囚われている者たちからワッと歓声があがる。

「痛っ・・・・・・」

「じっとしてください、すぐに治癒魔法を」


 ――グシャッッ。


 聞き慣れない音と同時に、眼前に鮮血が舞った。

 サクロヘニカの肩を切り裂くように、真紅のバラが芽吹いている。その体が、後ろへ倒れ込んでいく。


 フランマは頭の中が真っ白になる心地がした。

「サクロヘニカ!」

 咄嗟にサクロヘニカを受け止め、患部を確認する。

 サクロヘニカの左肩には黒々としたイバラが深く根を張り、血肉を糧にしたかのような真紅のバラが咲き乱れている。

 幸い意識は失っておらず、サクロヘニカは驚いたようにそれを見つめていた。

「・・・・・・なるほど、対象の体に魔法を埋め込むのか」

「分析している場合ですか?」

 そうこうしている間にも止めどなく血が溢れ、イバラがじわじわと体を蝕んでいく。早急にこの魔法を破壊しなければならない。

 サクロヘニカの肩に手を添えて、魔法式を感じ取る。それを解読できれば魔法は解ける。

 ――しかし案の定、そこには魔法式を保護するための魔法錠が仕込まれていた。解読には時間が掛かる。悠長に構えている暇は無い。

「・・・・・・サクロヘニカ、暫く耐えていてください」

 フランマは手負いのサクロヘニカをその場に残し、数歩前に出た。

 鎖に絡められた者たちの罵声が飛び交う。

 群青色の瞳に冷血さを帯び、夜闇に潜む魔法使いと真っ直ぐに対峙した。

「もう容赦はできません。掛かってきてください」

 フランマが挑発すれば、それに乗じるようにその魔法使いは姿を現した。

 フードを外し、愉快そうにフランマを見据える。

 フワフワとした赤毛に、若草色の瞳。驚いたことに、まだ若い女性だった。しかしその顔には大きな傷跡がある。

 三日月のように目を細めると、魔法使いは愉しげにフランマへ声を掛けた。

「あなた、天使よね?やっぱり神様の飼い犬は、私みたいな相手と戦い慣れていないのね」

 ふいに杖が振り上げられる。瞬間、暴風が吹き荒れ、土煙がフランマの視界を覆った。

「このっ・・・・・・!」

 フランマは浮遊魔法を使い、高く飛び上がる。しかしそれを追尾するように割れた瓶の破片が吹き上がった。防衛魔法でそれを防ぐ。

「全然懲りてないのね」

 杖が振り上げられ――防衛魔法が破壊される。

 ガラス片がフランマの頬を掠めた。夜空に血が飛び散る。

 傷は浅いが、鋭い痛みが走る。フランマは翼を翻し、馬車の上に降り立った。

「いいぞデルゼイ!天使を殺せっ!」

「馬鹿、先に黒髪の方をやりなさいよ!」

 喚くような蛮声に、デルゼイと呼ばれた魔法使いは忌々しげに耳を塞いだ。

「うるさいわね・・・・・・その白梟の使徒なら、わたしの魔法を受けたんだから勝手に死ぬわよ」

 使と呼ばれたサクロヘニカを見遣れば、地面に座り込んで苦しげに肩で呼吸をしていた。純白のケープが赤々と染まっている。

「どこ見てるの?」

 突然耳元で声が聞こえたかと思えば、振り向く間もなく吹き飛ばされた。暴風の荒波に揉まれ、翼も魔法も意味を成さない。

 抵抗する隙も与えられず、フランマは地面に打ち付けられた。

「っ・・・・・・」

 激しく体を打ちつけた。痛みで声が出ない。酷い耳鳴りがする。

 側頭部がじわりと熱を帯びる。暖かな何かが、こめかみから頬へと伝っていく。

 地面がぐらぐらと揺れて立ち上がれないでいるフランマのもとへ、デルゼイがゆっくりと歩み寄る。

 フランマに鋭く睨み付けられても、デルゼイは一切動じない。

「ねぇあなた、あの白梟の使徒とはどういう関係なの?」

「・・・・・・答える義理はありません」

 冷たく切り捨てれば、デルゼイは呆れたような目をした。

「自分の状況がわかってないのね。まぁいいわ、あの白梟の使徒は勝手に死ぬとして・・・・・・」

 デルゼイは纏わりつくような視線をフランマに向けた。どこか狂気的なそれに、悪寒が走る。

 三日月の弧を描いた狩人の瞳が、弱った天使を射止めた。

「――天使なんて滅多にお目にかかれないもの。せっかく見つけたんだから、捕まえて魔法の実験台にしようかしら」

「・・・・・・は?」

 嫌悪感を露わにするフランマを、デルゼイは愛おしげに見下ろしている。

「まずは逃げないように手足を切り落として、魔法が使えないように魔法封じの首輪をしてあげるわ。まぁ、あなたくらい弱い魔法使いには首輪なんて要らないかもしれないけど」

 血で染ったフランマの側頭部に、デルゼイが手を伸ばす。そのまま傷口を押し込まれ、激痛が駆け巡った。

「さぁ、抵抗できないように眠らせてあげる。それとも、あのお仲間さんが死ぬところを見せてあげよっか?」

 デルゼイは至近距離からフランマの顔を覗き込む。さらに手に力を込め、フランマを痛め付けようとする。

「あなたも、あの使徒のように強い魔法使いだったら良かったのにね?まぁ、あなたみたいな落ちこぼれじゃ無理だと思うけど――」


「――さぁ、それはどうでしょう」


 答えるや否や、フランマはデルゼイの腕を力強く掴んで顔を上げる。

 そこには、勝ち誇ったような表情が浮かんでいた。

「っ?あなた、急に何を・・・・・・!」

「貴方の負けですよ、デルゼイさん。なにせ本当の白梟の使徒は俺ですから」

「はぁ?!」

 デルゼイが後退ろうとする――しかしそれはいとも容易く封じ込められた。デルゼイには、とっくに捕縛魔法が掛けられていたのだ。それも、準禁忌魔法『果てなき永久とこしえの枷』が。

「ちょっと、どういうことッ――」

「貴方に本気で抵抗されると面倒なので、油断させるために一芝居打たせてもらいました。・・・・・・サクロヘニカ、そろそろ弱ったふりはやめてください」

「おや、もう終わりかい?」

 フランマが声を掛ければ、地面に蹲っていたサクロヘニカは軽々と立ち上がった。その左肩には血の跡があるだけで、バラの花は見当たらない。

 絶句するデルゼイと襲撃者たちを他所に、フランマはサクロヘニカに疑わしげな目を向けた。

「貴方、わざと攻撃を受けましたね?」

「どんな魔法か気になったからね。すぐに解読できたから大丈夫だよ」

 サクロヘニカは目を逸らして肩を竦めると、徐に純白のケープを脱いでフランマに投げた。白梟の使徒の証であるフクロウの紋章が煌めく。

「貸してくれてありがとう。ちなみに、身分詐称?とかで怒られたりしないのかい?」

「原初の天使様の使徒という点では、貴方も当てはまりますから」

 フランマは受け取ったケープをさらりと羽織ると、眼下で跪くデルゼイを見下ろした。

 魔法の枷が手足に嵌められ、身動きが取れないでいる。彼女の若草色の瞳には絶望の色が刻まれている。

「ウエルネルタを蹂躙し、魔法の使えない人々を一方的に鏖殺した魔法使い。天戒審判所でどんな判決を受けるのか、俺には想像もつきません。・・・・・・せめて良き贖罪を果たしてください」

 氷のように冷ややかな言葉に、デルゼイは顔を青くするとにわかに震え始めた。

 しかしながら、その姿に同情心を抱く者はいない。

 彼女はあの美しい街――丘陵の街ウエルネルタを破壊し尽くした罪人の一人なのだ。


「・・・・・・ち、違う!だって仕方ないでしょう?私たちが生きる手段は他にないもの!」


 フランマの侮蔑の視線を受けながらも、デルゼイは必死に弁明する。

「暗澹たる夜のせいで故郷を失って強盗になった者たちは大勢いる!知ってるでしょ?みんな必死なの。どの国も私たちを受け入れないから定住できる場所もないし、そもそもここで生まれたなら強盗になる道しかないの。あなたみたいなお偉い様には分からないわ!」

「それが、貴方がウエルネルタを襲い人々を虐殺した理由ですか?魔法使いであるムッシュさんを意図的に殺害し、みなが寝静まった深夜に略奪を起こす狡猾で卑怯な獣として生きるくらいなら、他の道でもあったでしょう」

「他の道なんて――」

「あったはずです」

 フランマは鋭い眼光でデルゼイを見下ろす。その瞳は氷点下の冷酷さを帯びている。


「貴方は自らの行いを『生きるため』だと正当化しているだけの殺人鬼にすぎません。貴方がここで魔法を行使しているのは、殺人に伴う快楽と成果、優越感。そして仲間からの信頼に酔いしれているからです」


 ――デルゼイは目を見開いた。その唇がわななく。何も言い返せないのだ。

 フランマはその姿を一瞥し、サクロヘニカの元へ向かった。サクロヘニカはそれに気付くと、左肩の傷を気にしながらもフランマと合流した。特にデルゼイを気にする様子もなく、フランマに話し掛ける。

「上手くいったね、フランマ。そうだ、子供たちはどうするんだい?」

「俺が救助してきます。貴方は罪人たちが逃げないよう、一箇所に縛り付けておいてください。」

「あぁ、分かった。じゃあそっちは任せたよ」

 サクロヘニカは言葉通りに罪人たちを不可視の鎖で縛り上げた。

 藁束のようにまとめられ、あちこちからぐえっと変な呻き声が漏れる。かなり雑な扱いをしているが、フランマは咎めることなく馬車へと向かった。

 焚き火の熱が遠ざかるのを、ぼんやりと背中で感じていた。




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【精霊】

 天界において、平穏に生まれ、平穏に生き、平穏な最期を迎えた魂は精霊となり、世界を彷徨い生者を見守るとされている。

 器と記憶から解き放たれた魂そのものが精霊であり、見たり触れたりすることは出来ない。しかし、稀にその存在を感じとる能力を持つ者もいる。

 生まれつき精霊に寵愛され、彼らの力を借りて人々を導く者を“導き手”という。


【『果てなき永久とこしえの枷』】

 準禁忌魔法とされる、特定の者にしか行使を許されない魔法。発動には対象との身体的接触が必要。

 魔力で織り成した銀色に輝く枷によって、対象の身体の自由と魔法を行使する能力を恒久的に奪う。

 この魔法は一切の解除魔法を受け入れず、決して対象から離れることは無い。

 使用者の生死や魔力量を問わず、対象が死するまで効力を発揮する。

 基本的に、重罪人と認められた者にのみ使用される。


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