きみはお天気、あなたはお花

Iloha

第1話

「ママはお天気みたいだな」


一応穏やかな人で通ってるんだけどな。


仕事をする時は自分の心に蓋をする。

その方がいいでしょ。


低空飛行の方が楽だよ。

目立たぬように生きる。


だって私すぐ泣くし笑うし怒るから。

思ったことすぐ言っちゃう。


「黙ってればいいのか」って気がついてからは

楽になった。


歓んじゃったらちょっと辛くなる。

仕事に行ってシン…ってしてるの。

ああ、「モモ」の時間泥棒。


便利になればなるほど時間なくなるよ。

することが増えるんだ。


「あなたはお花。

俺今日のお花はどんなかな

って見るの楽しみなんだよな。

元気な時は山に咲く百合。

調子悪りい時、紫苔とか鷺草な」


すっごい殺し文句。

ひえええ、慄きつつ夫に報告する。


「お花ねえ」

苦笑いしてる。

やなやつ!やなやつ!

「気分を害した」ので口はきかない。


「気まぐれなんだから」

理由あるじゃん。私の鼻へし折ったじゃん。

悲しみは怒りへ。


だから歓びは嬉しくて嫌い。

お休みの日も大好きで嫌い。


今日はお休み。

「枯らす名人」は秘密でお花を育てていた。

朝起きたらラベンダーが咲いてる。


ああ、また歓んじゃう。

これずっと続いたらいいのに。

悲しくならないといいのにさ。


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