第27話 生きて帰るだけだ

「この戦争の本来の目的は、ぼくの捕獲だろ? 世界中でただ一人の”神語”を話せるぼくを、どうにかして捕らえたい。だから神は魔法使いを作って、餌としてばらまいた」

「だな」

「それを、ずっと考えてた。……別に、地球のことを疑ってるわけじゃないよ。ちょっと確かめたいことがあるんだ」

「また確かめたいことか」割葉がため息を吐いた。「ずっと含んだ言い方で誤魔化してるけどさ、少しはおれに相談してくれてもいいんじゃないのか? 仲間なんだし」

「ごめんね」と謝っておく。「確信が持てるまで、待って。間違ってたら恥ずかしいじゃん。小さい子の前だと、カッコつけたいもんなんだよ。今時の大人は」

「お前のカッコ悪いところなんて、もう見飽きたけどな」

 なんてこと言うんだ。


「で、その確かめたいことは、その槇ってやつが知ってんだな」

「いや。多分知らないだろうね」

「は? じゃあ、誰に訊くんだよ」

「訊かないよ。訊かない。ぼくが自分で知るんだ。この予想が正しいかどうか。間違ってたら死ぬだけだけど、もしあってたら」

 ぼくは足を止めた。割葉は二歩慣性で前に進み、そして止まった。一本道。まさしく一本道の先に、牛久大仏があった。まだ首をそれほど傾けなくても頭まで見ることができる。木々に隠れていない、遮るものもない、大仏の全長。手入れされていないはずなのに、陽を浴びて立つその姿は圧巻の一言だ。


「あってたら、どうだっていうんだ?」

「あってたら、生きて帰るだけだ」

「なんだそれ」


 生きて帰る。たったそれだけと割葉は思ったようだが、それを忘れてどうすると言いたげでもあったが、ぼくはこれを一番に考えていた。


『一撃必殺』 槇 都々ノ花

 精々、ぼくの役に立って、死んでくれ。そして、絶対に――


 ――ぼくを殺してくれるな。


「さて、乗り込みますか」

「そうしましょっか」

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