第23話 乞うご期待だ
「で」と、弁当の最後の一口を頬張りながら、割葉は言った。「なんで牛久に行くんだ? そこに誰かいるのか?」
「魔法使いがいる」
「……へえ」
「そんな嫌そうな顔しないでよ。可愛い顔が台無しだ。せっかく頬に”お弁当”を着けている可愛いシチュエーションなのに、そそられないよ」
「な⁉︎」と慌てて頬のあたりを袖で拭くが、その慌て方といい拭き方といい赤面といい、ぼくの心をえらく深くえぐってくれる。こいつはぼくの性癖を理解しているとしか思えない。
「わかってたんなら言えよな! 恥ずかしいじゃねえか」
「そのくらいの年でなにを恥ずかしがることがある。子どもは無邪気なことが仕事だ。ぼくは小さな男子はかなりの高確率で愛でる対象になるんだけど、その例外もいる。ちょうどいい機会だから、教えてあけよう」
「その前に魔法使いの情報をだな」
無視する。
「ぼくはね、どうしてもテレビに出る子役が許せなくてね。それだけは、いくら可愛くても、声が理想的でも、ショタ魂をくすぐる仕草をしてもダメだ。あいつらはショタじゃない。子どもであるけど、ショタじゃない。そういうのからズレたもんだ」
「あまりショタショタ言わないで欲しいなあ……少し声を落としてくれると有難いなあ……ここは新幹線で、乗客がいるんだけどなあ……」
聞き流す。
「なあ……おにーちゃん」
聞き入れた。
声のトーンを控えめにする。
「第一、なんで子役をテレビに出すのか、理解できないな。あいつらが来ると、それだけであいつら一色に番組が染まるだろ? 空気が止まるっていうか、みんな同じになるみたいで、嫌いなんだ。それに、あいつらは変に大人びてる。子どもは子どもらしくあるべきだ。なのに、気を使って、番宣して。それは子どもの役目じゃないだろ? ドラマにしたってそうだ。子どもは子どもなりの役目がある。なのにそれを無視して、礼儀を身につけさせる。まだ早い。もっとはしゃいでいいんだ」
「そんなもんかね」
「変に大人ぶるのは、気持ち悪い。例えるなら、大人の真似をしてブラックコーヒーを飲んだり、人生を語る中学三年生のようだ」
「なんで中三? そういうのは中二じゃないのか?」
「ぼくのショタ対象年齢が中二、14歳までなんだ」
「あー…………あ? なんかカミングアウトしただけで、脈絡が全くないんだけど?」
「ちなみに下は生後5、6ヶ月の赤ちゃんね」
「ぶほッ、え、ちょ、待ッ! お前それはいくらなんでも犯罪だろ⁉︎」
「なにをいう。愛でるだけだよ。赤ちゃんを見て可愛いと思ってなにが悪い。ちなみに、その年齢はぼくが好きなアニメの赤ちゃんの年齢を参考にしてるから、もっと下がる可能性もある。乞うご期待だ」
「全く期待したくねえ………」
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