部屋に溶ける想い

第1話



学校から帰宅し、自室の扉のカギをかける。

今は誰にも会いたくない、ほうっておいてくれ。


僕の幼なじみが告白された。お昼休みの廊下で。

告白の目撃者は、僕をふくめて大勢いた。

「告白するならほかの人がいないところでしょ」なんて声も聞こえた。


断るに違いない。

人前で告白するような、雑な男は似合わない。

大切な幼なじみを守れるヤツはほかにいる。

そう思っていたのに、彼女は迷わず告白を受けた。


ショックだ。

あいつに好きな人がいるなんて知らなかった。


ベッドに仰向けに寝転がる。

まぶたの裏に浮かぶのは温かな闇。

幼なじみのきれいな黒髪。


好きは、簡単になくならないから、困る。


まぶたの上に手の甲をのせて眠る。

夢の中で僕達は今日もすれ違う。

彼女は好きな人を見上げて笑っている。


胸が苦しい。涙が出そうだ。

でも、ほほ笑まれると誤解しそうだから、これで良い。

ハッピーエンドしかいらない。

それが彼女のためになるなら、僕はがまんする。


あきらめて前を向くから、少しだけ時間が欲しい。

大好きなあなたと、笑顔で話せるようになりたいから。

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部屋に溶ける想い @hosihitotubu

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