<第一話を読んでのレビューです>
淡々と描かれる授業風景の中に、微細な違和感が静かに積み重なる。
先生の言葉や所作、メモ帳や宿題のやり取りが、一見日常的でありながら不可解な事件の兆しとなる。
その描写の丁寧さが、不安をじわじわと胸に広げる。
登場人物の心の動きや、出来事の順序をしっかり追う文章構造は読みやすく、読後に残る微妙な寒気は印象的だ。
文章は穏やかでありながら緊張感を保ち、奇妙さを直接説明するのではなく、日常のディテールの中に潜ませる手法が巧み。読者を無理なく物語の中へ誘い込み、ひとつの章が終わった後も頭の片隅に残る余韻がある。
静かな怖さを楽しめる作品でした。