春の宵の夢

第1話

桜吹雪に狂うこともせず

頼りない心と軽い肩抱き

ただ 春の生温かき風に

目を伏せ口噤み

遠き爛漫なる夢に佇む


嗚呼 過去よ


今に続く一本の線上にある

焦がれてやまない熱情と

畏怖することもなく

無謀に無邪気に疑わぬ

信義に満ちた無数の背後よ


わたしはその線上の切っ先に居る


そして、今後もわたしの生を紡ぐのだ


来たる終わりの日には

顔上げ艶然と微笑み

かくも生きてやったのだと叫ぶのだ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

春の宵の夢 @oboto

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ