ゲームクリエイターりん ~某有名 横スクロールアクションゲームのようなものを作りたいです~

konoha

第1話 パソコンがやってきた

「明日ね!」


「じゃあ、また明日!」


 そう言って、私は友達と別れた。


 友達は宮野みやの 支子つかこという名前で、イラストを描くのが趣味である。一方、私は特に趣味はなく、だらだらと過ごしている。



 そうそう。私の名前はひいらぎ りん。りんと呼んでください!って誰に言っているんだろう。トコトコと歩いていると、自動車が見えてきた。自動車は家の前にあった。見覚えがあった。いとこの兄さんのだ。



「やあ!」


 家に入ると、いとこのお兄さんが声をかけてきた。話を聞くと、どうやら要らないパソコンがあるので、私に譲ってくれるらしい。さらに話を聞いてみると、最新のパソコンを買ったので、今のパソコンは要らなくなったみたいだ。



「なんだ、そういうことなのね」


 私は思わず、口に出してしまった。小さな声だったが、聞こえてしまったかもしれない。


 いとこのお兄さんが帰った後、パソコンが入ったダンボールを開けてみた。本体とモニター(テレビみたいなやつ)、多数のマニュアル。それとパソコンの動作に関するメモが入っていた。あと、ゲームソフトなどが入っていた。


 パソコンの名前はFPX-781と言うらしい。


 メモ書きを見て設置をしていたら、お風呂の時間になってしまったが、どうしても動いている画面が見たくなって、そのまま作業を続けた。設置がすべて終わり、モニターの電源を入れ、パソコン本体の電源を入れる。数行の英文が表示され、その下に白い四角いものが点滅していた。


 パソコン本体に細長い隙間があるので、そこに薄い感じのソフトを入れてみた。しかし、特に変化は起きなかった。説明書を見ると、どうやら本体をリセットするらしい。


「本体オフの状態でソフトを入れて、電源オンでも良さそうね」


 思わず、私の口から言葉が漏れた。


 本体をリセットすると、本体がガタガタと音を立てた。30秒ほど経ったころであろうか、画面の中央に何か英語のようなものが出てきた。ゲーム会社のロゴだろうか。


 次に、カチッコチッと本体スピーカーから、音を立てながら、古びた時計のようなものが表示された。さらに音楽のようなものが鳴り、だんだんと大きくなってきた。そして洋館だと思われる建物が画面いっぱいに表示された。美しい音楽に、美麗な画面。私はそれに満足して、お風呂へ入った。


 私は湯船につかりながら、いとこのお兄さんがくれたメモ書きのことを思い出していた。確か、ゲームも作ることができると書いてあった気がする。あのパソコンで作ったゲームが動くのだろうか。それとも別の機械みたいなものへプログラムのようなものを送って、その機械で遊ぶ感じなのだろうか。


「あちっ」


 おっと、お風呂をもしたままだった。そして、すぐに私はお風呂のガスを切った。お風呂から出て、パソコンのマニュアルを読むと、パソコン本体で動くゲームは、そのパソコン本体で作ることができるらしい。


 その日から、私はマニュアルとにらめっこをした。しかし、1週間が経っても何が何だかわからなかった。



 なんだかよくわからなくて、パソコンをあまり起動しなくなったある日。私宛にダンボールが送られてきた。いとこのお兄さんからだった。中にはパソコン雑誌と思われるものが入っていた。ファンシーな表紙でちょっと紙質が軽いような本。堅苦しい感じの本で、厚さのわりに重い本など、いろいろ入っていた。


『とりあえず、本に載っているプログラムを入力して、動かしてごらん。意味がわからなくても』というメモも入っていた。


 私はそれの助言に従って、入力し始めた。しかし、実行をしようとすると、『Syntax Error』と出て、プログラムが途中で終わってしまう。調べてみると、構文エラーと言うもので、まあプログラムが間違っている。正しく入力されてないということらしい。


 私は頭がちょっと変になりそうになったけど、エラーの箇所も出てくるので、どんどん直していった。まあ後から表示されている箇所とは限らない別のエラーも出てきて、さらに混乱するのだけど。


 なんやかんやで、一通りエラーも直ったみたいで、タイトル画面、ゲーム画面、ゲームオーバー画面とちゃんと遷移していったので、安心できた。


 だいたいこういうときは、なにか起こるもので、ゲームをずっとプレイしていると、やっぱり起きた。先ほど言っていた別のエラー(Syntax Error以外)だ。再現性があまりなかったりすることも多いので、とても困るのだが、一応それも直して、一通り入力は終わった。


 その後、いくつかゲームのプログラムを入力して、プレイして思うこと。


 それは『オリジナルゲームが作りたい』だった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る