第3話
サリーは、大天使様にお願いして、地上に降りる許可をもらった。
人間に変装したサリーは、公園へと向かった。
そこには蘭ちゃんがいたが、どこか悲しそうな顔をして、一人でベンチに座っていた。
心配になったサリーは、思わず声をかけた。
「どうしたの?何かあったの?」
蘭ちゃんは、ぽつりと話し始めた。
「パパが、家を出て行っちゃったの。ママと昨日けんかしてたんだけど……私が寝てる間に、いなくなっちゃったの。ママに聞いても、"パパは遠いところに行っちゃった"って言うだけで……」
そう言って、蘭ちゃんの目から涙がこぼれた。
サリーは何とかしてあげたいと思い、そっと小さなキャンディーを取り出した。
「このキャンディーをなめるとね、お母さんが本当のことを話してくれるよ。」
蘭ちゃんは「ありがとう」と言って、キャンディーをなめた。
サリーは天使の姿に戻ると、こっそりと蘭ちゃんの家へ向かった。
「ママ、パパはどこ?」
お母さんは、しばらく黙ってから、そっと答えた。
「……パパはね、病院に入院したの。もう、あまり長くないって。ずっと病気のこと隠しててね。私も昨日、やっと知ったの。それでけんかになっちゃったけど、その後に倒れて……。蘭ちゃんには心配かけたくなくて、黙っててごめんね。」
「そうなんだ……。教えてくれてありがとう。パパが元気になるように、お見舞いに行く!
希望は捨てちゃだめって、パパが教えてくれたもん!」
蘭ちゃんの言葉に、お母さんは涙を浮かべながら微笑んだ。
「そうね。蘭ちゃんの言うとおりだわ。最後まで希望を捨てちゃいけないわね。」
その後、蘭ちゃんはお見舞いに行き、パパとママを元気づけた。
そしてサリーは、看護師に化けて、こっそりと魔法の薬を蘭ちゃんのお父さんに飲ませた。
――数日後。
お父さんは奇跡的に回復し、病気を克服することができた。
蘭ちゃんの家族は、再び笑顔と希望を取り戻した。
サリーはほっとして、天界に戻ることにした。
「……あ、蘭ちゃんと友達になれなかった!」
次こそは、とサリーは心に誓う。
「今度こそ、蘭ちゃんに“友達になって”って言おう!」
サリー、頑張れ!
おわり
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