第16話
マンガやアニメという二次創作ならよくある話で。
かなりのイケメンでスタイル抜群、人を虜にさせる笑みを見せれば、誰もが自然と集まってくる。
親しみやすい雰囲気と大人の男が持つ色気があれば、もう完璧。
ちらりとあの男を見てみる。
まさに、二次創作にいるようで、そのうえ一目惚れされる外見を放っている。
まさに王子様みたいよね。
まあ、本当に正体を知ったら騒ぎになるけど。
私の小さな溜息とは他所に。
すでに、周りには男女問わず生徒が集まり、賑やかな光景になっていた。
誰もが笑顔で、女子生徒に関しては恋する眼差しで見つめている人もいた。
おばちゃんたちの井戸端会議と似ているような光景に小さく息を吐いた。
何を話しているかはわからないが、通り過ぎればいいだけ。
おとなしい女の子を演じないといけない。
ぎゅっと強く鞄を握りしめて歩く足を動かそうとした時。
「おはよう!」
太陽よりも眩しい笑顔をする男性の笑顔が視界に入ってきた。
「………………おはようございます。」
軽く頭を下げて挨拶をする。
「神無月!高校生は、もっと元気よく声を出すものだぞ。」
どや顔をする男はにかっと何故か白い歯を光らせる。
何かの宣伝でしょうか、と思いつつ黙りながら、再び軽く頭を下げた。
柳沢先生、きっといずれはCM出演を目指しているのかもしれない。
キラリと白い歯を光らせながら、爽やかさを浮き立たせる先生を見て思う。
校門に立っているのは、生活指導を担当している先生なのだが、CM出演を狙うかのような柳沢先生で、こちらも生徒から人気である。
生徒と何気ない会話をしながらも、身だしなみにはかなり厳しいとの評判だ。
ならば、おとなしくてなおかつ、制服を着崩れしなけれは捕まらないよね?
いまにも消えそうな雰囲気を醸し出しながら、柳沢先生の側をすり抜けるように歩いた。
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