VRキラキラパフォーマンス オン・ノード(4)

 パジャッソとまいぴょこはそのまま遊ぶことになり、一緒にライブをすることになった。

「デュオでやるとき、掛け声を合わせようね。なかよしボーナス付くから」

「わかった。どう合わせたらいい?」

「あたしが『キラメスター』って合図するから、その後の『ポップアップ』を一緒に言ってね。それともハルカちゃんが合図したい?」

「ううん。まいぴょこに言ってもらったほうが良いよ。人と一緒にやるの、あんまり慣れてないから」

「じゃあ、あとは、キラキラアピールの時にファンの『おうえん』があるけど、その時にハイタッチもしよう。これも『なかよし』が付くよ」

「やったことないから、上手くできないかも……」

 せっかくのまいぴょこの提案ながら、パジャッソは少し腰が引けてしまう。言葉通り、慣れてないからだ。

「大丈夫。えーと、この曲だと『おうえん』は『トゥインクルスター、キラキラキラキラ、トィンクルスター』だから、最初の『スター』を合図にして『キラキラ』で顔を合わせて、次の『スター』でハイタッチならやりやすいよ」

「キラキラで顔を合わせて、スターでハイタッチ。うん、やってみる」

「顔を合わせる時は、ちゃんと目を見てね?」

「目を見るの? ちょっと恥ずかしいな……」

「目を見ると『なかよし』にエクストラが付いて得点アップだから。でも、恥ずかしそうにしてるのはそのままの方が良いかも……」

「そうなの?」

「うん。恥ずかしそうにしてる娘にはエクストラ・プラス・プラスの『ういういC』が付くんだって。友達とやってても絶対に付かないから、やってみたい!」

「あー、友達だと慣れてるから付かないのか。じゃあ、頑張ってみるね……」

 誰が考えたシステムなのか、表情に演技までつけるとはなかなか念入りな変態に違いない。ただ、中身が成人男性でもポイントが付くなら公平な変態なのかもしれない。

「ポップアップとハイタッチで、いっぱい『なかよし』取ろうね。あっ、はじまった」

 聞き慣れた登場用のサウンドオーメンが聞こえる。

 ふと表情をひきしめたまいぴょこが手を差し出してくる。

「じゃあ、はい。手を繋いで」

「えっ?」

「出る時に手を繋いでると『なかよし』でしょ? 早く!」

「……うん」

 まいぴょこから差し出された手はレイヤードリアリティで現実の接触ではないのだが、充分に入れ込んでいると偽の感触であることを認識できない。

「じゃあいくよ! キラメスター!」

「「ポップアップ!」」

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