第10話 殺意
まだ
それは雲を割って差し込む朝日を彼女のプラチナブロンドがキラキラと弾いているからだけではない。
ひと鍬ひと鍬と確かめる様に畑を耕すその姿が、真摯な彼女の生き様を表している様に思えたからだ。
「やはり美しい人だ!姿形だけでは無く……」
サクッ!
鍬を振り下ろしたままにしてエリザベートはハンスの方へ振り返る。
「おはよう!昨日は失礼した。慣れぬ客人に気疲れしたようだ。せっかく来てくれたそなたを袖にして寝入ってしまい、今朝は今朝でそなたが活けてくれたガーデニアの香りに起こされた。まったく不甲斐ない事よ」
「滅相もございません。花を抱きお休みになられた姫様のお顔は神々しくもあられました。」
「従士というのは口も達者なのか?」
「私は心のままを申したまで、ご無礼をお許し下さい」
「よかろう!ここへ来て私と立ち会ってくれたらな!」
そう言ってエリザベートは鍬の刃床を踏んで引き抜き抜いた
「では、私もこの木の枝で木刀をしつらえます故、少々お待ちを」
ハンスが腰の剣を抜くとエリザベートは手に持った
「木刀など不要! そなたの剣との手合わせを所望する! こちらは足場の悪い畦の中!“百姓”を侮るなよ!」
エリザベートはハンスを見据えると微かに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます