僕の姉は、僕のもの

佐藤或都來

第1話

 僕の姉がとても美しいということは、物心ついた頃から知っていた。


 それがはっきりと認識できたのは、中学の頃だっただろうか。

 二人で歩いていると、知らない男どもの視線を集めるのである。

 (鬱陶しい)と睨みつけると、彼らはふっと恥じたように、或いは気まずそうに目を逸らし、何事もなかったかのように立ち去っていく。

 中には僕と見比べて眉を顰める輩もいて、実に不愉快極まりない。

 そんな事象が増えるにつれ、僕は姉に執着の気持ちを持ち始めていることに気づいた。

 姉を、人目に触れさせたく無い。

 姉を見て、感嘆の溜息を付くのは僕だけで良くて、

 その微笑みを得られるのは僕だけで良くて、

 優しい声を堪能するのも僕だけで良いんだ。

 家に二人きりで過ごしている時は限りなく幸せだった。

 姉は僕だけのものだ――


 だから、姉に恋愛の噂を聞けば裏から手を回して叩き潰した。

 誰かが姉に焦がれていると聞けば、誰か適当な人物を焚き付けて回避させた。

 少々いやらしい手も使ったが、それが悪いこととは露程も思わない

 姉は寂しげに言う「わたし、そんなにモテないのよ」と。

 そう、それでいいんだ。

 姉を愛するのは僕だけでいい。

 姉が愛するのも僕だけでいい。

 姉は「わたし、ずっと一人きりかもしれないわ」と言う。

 だから、自分がずっと一緒にいると伝える。

 一生二人で過ごそう、きっと楽しい人生だと。


「そうね、それも楽しいかもしれないわね」


姉はふふ、と微笑む。


「でも、遥ちゃん。あなたはまだなんだから、諦めちゃだめよ」


「大事なが、幸せになるのを見たいわ」


 僕は、「そうね、」と、心にも無い言葉を吐いた。


 そして、どうすれば、どんな手を使えば、一生二人きりで過ごしていけるかを、


 ずっと、ずっと、考えている――

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僕の姉は、僕のもの 佐藤或都來 @Azuki_sth

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