【完結】愛しているって嘘だったんですか?~結婚式当日に花嫁が逃げた~

天風 繋

結婚式当日

第1話

俺には、将来を誓い合った幼馴染みがいる。

幼稚園の頃からずっと一緒に育ってきた。

高校・大学もずっと一緒で…学科は違ったが、社会に出てからは別々の会社に就職をした。

同棲も早3年が経つ。

明日、俺は彼女と結婚する。


実花みか、愛してる」

「ええ、私もよ。修志…愛してるわ」


ベッドの隣に眠る実花の頬に口づけをしながら俺は愛を囁く。

昔ほど反応が返ってこなくて寂しく思うのは俺だけなのだろう。

彼女は、無関心なほどに…いや、冷めた目で俺にそう答えていた。

義務で応えているとしか思えないほどに。

それは、心に蟠りを作り続けていた。

翌日。何が起こるのか。

この時の俺には、分かっていなかった。



翌朝。

俺は、1人でチャペルへと向かっていた。

新郎は、飲酒することになるらしく運転禁止の為、親族に送ってもらった。

ちなみに、挙式・披露宴後にそのまま新婚旅行に行くから荷物を持ってだ。

それなのに、飲酒と言うのもどうかとは思うが。

実花は、自身の運転でチャペルへと向かうらしい。

らしいというのも今朝になって言われたから。

腑に落ちない気持ちを抱きながら、チャペルで準備に追われている。

設営もスタッフと一緒になって行う。

折角の記念なのだからと思って…まあ、いつもしていることと大差ない。

俺の仕事は、ウェディングプランナー。

そして、此処は俺の職場である。

ブライダル業界において、男性のウェディングプランナーはとても少ない。

女性が代表的な職業と言っても過言でない。

ブライダル業界での男性は、メンズコーディネーターやブライダルサービス、キャプテン、フラワーコーディネーター、それに支配人などが挙げられる。

実は、俺は一通りの業務を行い来月からは支配人になる予定である。

最初の1年は、ブライダルサービスして、2年目からはウェディングプランナーをしていた。

ブライダルサービスは、新郎新婦やご両親・ゲストにとって最高の1日となるようサービスを行うお仕事。

テーブルセッティング・ゲストのお出迎え・ご案内、披露宴において料理や飲み物の説明・提供、片付けなどを行う。

ウェディングプランナー、司会者、音響、カメラなど結婚式に携わるメンバーと連携を取りながら結婚式を作り上げていく。

キャプテンは、新郎新婦の先導役や披露宴を進行させるお仕事。

披露宴での先導役をしながら、披露宴全体のコントロールします。

司会者を始め、披露宴に関わるスタッフへの指示出し等を的確に行い結婚式をスムーズに進行させる役割があります。

サービススタッフの管理・教育、その他、披露宴会場のセッティング、トラブル対応業務など多岐に渡る。


「鈴木さん、なにも自分の式までブライダルサービスしなくても」

「いやぁ、自分の式だからこそいい記念になると思ってさ」


俺は、その後もある程度手伝いをしてから自分の控室に戻った。

控室には、支配人が来ていて笑顔で怒られた。

いいじゃんか、自分の式なんだから。

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