気分次第で揺れる転職の思いと、鬱々とした月曜日の午後


月曜日。朝は気持ちのいいほどの晴天なのに、気分はどんよりしていた。いつものように少し遅れてきた電車に乗り、いつものように無言で職場にたどり着く。週の始まりというだけで、どうしてこんなにも気が重くなるのか。考えたところで答えは出ないけれど、「今日もまた一日が始まってしまった」という感覚だけが身体の奥に居座っている。


13時。昼休み。コンビニのおにぎりを食べながら、久しぶりに派遣の求人サイトを開いた。最後にログインしたのはいつだったか覚えていないが、職歴の情報は微妙に古くて、いくつか修正した。自分の職務経歴を入力しながら、「ああ、自分は何を積み重ねてきたんだろう」とふと思う。


本当は、いくつか求人に応募までしてみたかった。気になる仕事はあったし、「ここなら今よりはマシかもしれない」と思えたところもあった。でも、時間が足りなかった。昼休みはたった1時間。気になる求人に「応募する」というボタンを押す時間さえ、自分にはなかった。スマホの画面を閉じて、ため息をつく。応募ボタンまで辿り着けなかっただけで、なんだかすべてが遠のいた気がした。


午後の仕事が始まる。テレマーケティングの業務。リード獲得が目標だけど、なかなか話が噛み合わない。相手の反応が薄かったり、断られたり、声のトーンが冷たかったり……一つ一つの反応に、精神がじわじわと削られていく。こんな仕事、向いてないんじゃないかと頭をよぎるたびに、また転職のことを思い出す。


「このままでいいのか」と、何度目かの問いが浮かんでは消える。けれど、終業間際の最後の最後で、ようやくリードが一件取れた。スムーズに話が進んだわけではないけど、話しているうちに相手のトーンも前向きで、自分の言葉が少しずつだけど、ちゃんと届いた感覚があった。電話を切ったとき、身体が熱くなるほど嬉しい気持ちと、猛烈な達成感とやりがいを感じた。ああ、今日は気持ちよく仕事を終われる。そんなふうに思えた。


不思議なもので、さっきまでの転職への熱が、少しずつ引いていくのを感じた。ほんの一つ上手くいくだけで、「もうちょっと頑張れるかも」と思ってしまう。人生って、たぶんそんなもんなんだ。気が滅入っている時ほど仕事を辞めたくなるし、気分が上向くと、続ける理由を探してしまう。


でも、それでもやっぱり、転職については前向きに検討したほうがいいと思う。今日の気分が良かったからといって、金銭的にこのままでいいわけがないし、メンタル的にも限界が近づいていることは間違いない。一時の好調さで自分をごまかしていたって、何も変わらない。


このままずるずると先延ばしにして、気づけば何年も経っていた……なんて展開は、もう避けたい。自分の時間も、労力も、心のエネルギーも、限られているからこそ、大切に使いたい。今日は求人に応募できなかったけど、次は、きちんと準備をして、一歩踏み出すつもりでいる。


そうやって、また月曜日が終わる。来週の月曜、自分は何を考えているだろうか。少しだけ、期待していたい。

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