黒き宝石に眠る者 ― 闇と光の目覚め ―

NOGRAY

序章 未解明の遺物

■ 過去に発見されたダイヤモンド

 ダイヤモンドの妖精が発見された記録は、政府の極秘事項として長らく封印されていた。


 記録によれば、ある調査隊が古い遺跡の中から**“異常なダイヤモンド”**を発見したという。

 そのダイヤモンドは成人男性の手のひらより少し大きく、通常のダイヤモンドとは比べものにならない大きさであった。

 それだけでも異常だったが、それ以上に調査員たちが驚いたのは――


 ダイヤモンドの内部に、“妖精のように見える人型の影”が見えていたことだった。


「これは……?」


 調査員たちは、慎重にダイヤモンドを分析しようとした。

 だが、どんな手段を試しても、その内部に干渉することはできなかった。


「レーザーを当てても、何の反応もない……」

「表面に傷一つつかない。まるで何かに守られているようだ」


 妖精のようなものが見えるにもかかわらず、接触することは不可能だった。


 “それ”は、本当に何かの生命体なのか?

 ただの光の屈折が生み出した幻想なのか?


 誰も、答えを出せなかった。


 ――そして、そのダイヤモンドは隔離された。

 政府は、その存在を「未解明の遺物」として、長い間人々の目から隠したのだった。


■ “黒き宝石”の発見

 時は流れ、現代――


 南米の鉱山にて作業員が新たな鉱石を発掘した。


「これは……!」


 発掘されたのは、漆黒に輝くダイヤモンド――**“ブラックダイヤモンド”**だった。


 その表面は、吸い込まれそうなほど深い黒。

 通常のブラックダイヤモンドとは異なり、異常なまでに大きい。


 そして――


「……見える。ダイヤの中に、何かが……!」


 作業員は、驚きの声を上げた。


 ダイヤモンドの中心部には、確かに“人のような影”が浮かび上がっていた。

 まるで眠っているかのように、静かに閉じ込められた影。


 発掘チームは政府に報告を上げた。


 発掘から数日後――


 ブラックダイヤモンドは、極秘裏に政府の研究所へと運び込まれた。


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