第6話 旅立ちにはざまぁを添えて
ネモネを追放して逃がそうとしたけれど、そんなネモネに助けられてサイラを討伐した俺達は仲良く土下座謝罪して詫びをいれた。ネモネは笑って許してくれたけれど問題はそこじゃなかった。
サイラを討伐した後、国に戻るとサイラの洗脳が解けた連中がその不始末を全部リックに押し付けていた事。さらに他の王子をネモネの婚約者にする動きもあり、これは国の上の方の誰かが音頭を取っていると察した俺は冒険者ギルドに頼みこみ、借りを作る形で事の真相を調べた。リックは猫頭に成る呪を受けているので教団の生き残りを捜しつつ呪を解くために旅に出るというのでそれに同行することにしたけれど、国を出る前にやっておくことがある。
「―――って事で、事の成り行きと裏で手を引いてるあんたらの中で最初にサイラをこの国に迎え入れたお前にメッセンジャーになってもらうために会いに来たぜバルカルディ卿」
「お、お前は剣聖!このワシを誰だと思っている、無礼な!ものどもであえ、であえー!」
「あーそれ無駄無駄。この屋敷の人間は老若男女平等にひとり残らず全員ぶっ殺した。郎党残らず皆殺しにしないとみせしめにならねえからな」
そう、ここはサイラを迎え入れたバルカルディ卿の邸宅の私室。身ひとつで乗り込んだ俺は屋敷に住むバルカルディ卿の妻子、従者、使用人、その数苦に至るまで全員をぶち殺し、最後に残ったこの男のところにきた。上等な服を着てでっぷりと肥えて脂ののった中年男、バルカルディはガタガタ震えながら怯えている。
「な、なんだと?!そんな事をしていったいどうなるかわかっているのか?ワシはこの国の重臣で―――」
「ゴチャゴチャうるせえクソボケが。国に毒婦を引き込んでおいて、どさくさに紛れて人に冤罪擦り付けて逃げ切ろうだなんて俺が看過するわけねーだろ。冤罪追放ってきたらざまぁされるまでが様式美だろ?なぁ?オッサン」
そう言いながら震えるバルカルディの元まで歩いていき、胸倉をつかんでうつぶせになるように地面に叩き付ける。鼻が潰れ折れた歯がくちからこぼれるが元からブサイクな顔だ、マイナス50がマイナス100になってもそうかわらねえよな!!
「はぴっふぁ、ふぁめろ~」
「あぁ?やめるわけねーだろ!お前はこれから生きたまま背中に文字を刻んだ後でお前の死体を広場で晒し者にするんだからよ!!
サイラの罪過をリックにおしつけようとした奴らと、この機に乗じて成り上がりを弄した―――自分の私腹を肥やすためにリックを陥れた奴ら全員への宣戦布告をな。そのための皆殺しだ。……あぁ、直接的な罪のない、お前のガキや使用人のガキたちは苦痛も恐怖もないように一瞬で仕留めておいたからそこは慈悲だな」
「ふぁ、ふぁふぁふぁーふぁ、ふぁーふぁふぁ!!」
「あー、なんだって?ぼぼぼーぼぼーぼぼ?ハハハ、何いってるかわかんねえや。まぁいい、必要なのはお前の死体だけだしな。それじゃその背中に、文字を刻んでいきまちょうね~♪サクッサクサクッえぐっとほじってまたサクサクサクッ」
「ぼんぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
『毒婦サイラを呼び込んだだけでなく、国を想い毒婦を討ったリックに全ての罪を擦り付けた愚者バルカルディの命を郎党諸共頂戴した。リックへの冤罪追放に加担した他の奴ら、それに与する者仕える者も、リックが帰還した暁には皆殺しにしてやる。震 え て 眠 れ 』
と、バルカルディの背中に文字を刻んだけれど3文字目くらいで恐怖と苦痛と絶望の表情で絶命していた。このオッサン心も身体も弱すぎる。メッセージボードとして背中に文字を刻んだバルカルディの遺体を文字が見えるように木で作った十字架に磔にしたあとで、深夜に誰もいなくなった王都の中央広場に設置した。明日の朝これをみつけたら王都は大騒動になるだろう。
市民はこの凄惨な死体を見てリックが冤罪ではないか?という話が出るようになるだろう。そしてこのどさくさでリックに冤罪をかけた奴らは、次は自分だと震えるだろう。俺達を狙ってくる可能性もあるが、それなら返り討ちにすればよい。
俺達の冤罪芝居じゃない、ガチで冤罪をかけて追放にもちこもうとしたんだからまぁぶっ殺しても問題あるまい。ざまぁとはそういうものだしな!!
いやぁ、異世界着て聖人君子みたいな王子と一緒にいるのも楽しいけれど、こういう王道ざまぁ展開ってのもいいですねぇ、クズはどれだけぶっ殺しても良いからな!!これからの旅も楽しみだぜヒャッハー!!
聖女なのに追放されましたが追放した王子が色々なものを失っていました サドガワイツキ @sadogawa_ituki
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