第2話 屋外でお楽しみでしたね
「あちゃー、お楽しみの最中でしたね。これは駄目だわーギルティーだわー絶対入ってますわーダメよダメダメ。恋人を裏切ってポッと出の女に乗り換えるようなクズはもうこのお楽しみ中のシーンの録画を全先に向けて匿名で発信して社会的に処刑するわよっ」
王子の半裸姿を見てジェディーがジト目で呆れたように言っている。……あれ、でもなんだか様子がおかしいような気がする。
「まってジェディー、妙だわ。王子達が居るのは屋外みたいよ?」
「ハーッ??屋外プレイですかそうですか、みられるかも知れない緊張感が興奮のスパイスになってよりハッスルですかそうですかふざけんなドHENTAIたちがーッ!録画だ録画ァ、晒せ晒せーっ!神が許しても私が許さんぞ小僧ーっ!!」
「違う違う!そう言う意味じゃなくて―――なんだか様子がおかしくない??」
「野外でいかがわしい行為をする奴らなんて頭おかしいにきまってるじゃない……って、ん?本当ね。なんだかお楽しみ中という割には王子の身体はボロボロだわ。ちょっと視点を引いてみましょうか」
ジェディーも半裸の王子の様子がおかしい事に気づき、魔法を操作して盗撮の視点を操作するとリック王子がいるのは王宮ではなく、王宮から離れたどこかの荒れ地のようだ。それだけじゃなくサイラと対峙していて、上着を脱ぎ捨てた姿の王子の隣にはジョージもいる。王子もジョージもそれぞれに剣を取って、完全に臨戦態勢……いや、戦闘中の様子。
『フフフ、やるじゃないリック王子。舐めてたわ、この私とここまでわたりあえるなんてね。降参するなら今度こそ優しく洗脳してあげるわ、ここで辞めるか続けるか、選びなさぁい』
『そんな事を選ぶ権利がお前にあるのか!……まだだ、まだ終わらない!!』
『強い意志の瞳ね、そういう眼差しを踏みにじるのってゾクゾクするわぁ。それに剣聖も、わけわからないくらい強いわね。貴方本当に何者なの?』
『通りすがりの正義の味方だ、覚えておかなくていいぞ。リックの
『あら怖い。……それにしてもまさか私から聖女を逃がすために王子とグルになって芝居をうっていたなんてね。完全に騙されたわ』
『この国に戻ってきてお前を一目見た時、ぞぁっと全身に冷や汗が出たぜ。……それはリックもそうだったみたいだけどな。
お前がリックの婚約者の座に収まろうとしてるとわかったから、ネモネが危険だと踏んで逃がしたんだが……まさかここまで強いとは思わなかったぜ。俺達が旅で倒してきた邪教団の神官達とは数段違うじゃんか、ずるじゃん』
王子、ジョージ、そしてサイラの3名のそんな様子に、私もジェディーも口を開けてポカーンとしている。どうみても尋常ではない様子だけれど、満身創痍と言った様子の王子とダメージは少ないけれど疲労が隠しきれていないジョージ、対して傷ひとつないサイラ。
「……ねぇ何これネモネ、なんか
「そ、そうね」
そう言ってジェディーと2人で顔を見合わせてから空中の映像をかたずをのんで見守る。
『私があなたに取り入るためにあの娘を始末しようとしているのに気づいて、わざと冷たい態度をとって逃がすとは甘い顔の割に食えない男だこと。この私の色香に落ちない男はあなたが初めてよ』
『舐めるなよ、俺とネモネは物心ついたときから一緒だったんだ。重ねた年月は想いの重さだ、いくら顔が良かろうと豊満な身体をしていようと胸が大きかろうとばるんばるんしようとユッサユッサ揺れようとえっちな衣装でたわわを強調しようと、ポッと出の女に覆せるものか!!!』
王子、胸について言及しすぎじゃないですか?いや王子が実は巨乳好きで胸の大きい子をみるとつい視線が胸に言っているのはしっていましたけど!しっていましたけどっ……!!でも胸が大きくても小さくてもネモネはネモネと言ってくれたじゃないですかー!やっぱり大きい方が好きなんですか??
『そうだそうだ、そこのリックはネモネを追放するための一芝居打つ前には泣いてのたうち回って嘆いてボロボロになるくらい惚れてるんだぞ!幾らどスケベ美人だろうと割って入る余地はねンだわ』
『あらあら妬けちゃうわね。でも残念、これまでよ?
王子は確かに並みの剣士よりは強いし、剣聖がこの世界の人間とは思えないほどの力を持っているのは認めるわ。でも私は破壊神の司祭。攻撃魔法も回復もできる私に、たった2人で挑むなんて無謀だったわね』
『ハッ、無茶も無謀も蹴散らしてこその異世界チートだオラァ!!俺はこの世界の人間じゃない、別の世界で死んでこの世界に召喚された異世界からの召喚者でなぁ。そんな俺がこの世界で出会った
……えっ、えっ?映像の言葉に頭が追いつかずパニックになっていると、ジェディーがまたメガネをクイッとなおしてから静かに叫んだ。
「なんだ、王子はあのみるからにヤバいオーラ出してる女からあんたを逃がしてたのね。良い男じゃない」
「あ、え、うん。……って違うわジェディー、どうしよう!リック王子が大変な事になってるわ!!助けに行かないと!!」
「――――任せなさい!私の魔法でひとっとびよ、30秒で支度して?」
「いつでもすぐ行けるわ!!」
「あいあいそれじゃ行くわよ!
ジェディーに服の襟首を掴まれたと思うと天井を突き破る衝撃を感じた後凄まじい風圧を全身に受け、次の瞬間には映像で見ていた荒れ地へと転送していた。さすがジェディー、変わった魔法のスペシャリスト!
「なっ、ネモネ?!どうしてここに!?」
「―――話はすべて聞かせてもらったわよスカポンタン王子とマヌケな剣聖!おっと剣聖がお前は誰だ?って聞きたそうな顔をしているから自己紹介するけれど私はジェディー、ネモネの友達よ。とりあえず、そこの褐色どすけべ乳牛司祭を始末してからゆっくり話をさせてもらうわ。ネモネ、王子達を回復して!!」
ジェディーに促されるままに王子とジョージに回復魔法を使うと2人の傷が癒えていく。
「マジすまん、助かるネモネ」
「ありがとう……だが俺は君を冷たく追放したのになぜこんな所に?」
「話はあとです。今はまず、あの人をたおさなければいけないのでしょう?回復は任せてください!」
私の言葉にリック王子とジョージが顔を見合わせてから、それぞれに剣を構えなおした。
「ハッ、どうやら2人でネモネに土下座で詫びるコースみたいだなぁ相棒!」
「相打ちよりはずっといいさ。さぁ、観念しろサイラ!これで形勢逆転だ!!」
「あ、私攻撃魔法とかないから役に立てないと思うけどシクヨロー」
こうして、私とジェディーが乱入したことで仕切り直しになり、改めて司祭サイラとの戦いが始まった。
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