権力の悪しき構図

ムーゴット

人ごとじゃない。あなたのところは大丈夫?

富士山系フジサンケイふかい森の中に、

奇跡きせきいずみばれる水溜みずたまりがあった。

このいずみの水を毎日まいにちんでいれば、

それはそれは、しあわせになれる、とわれていた。

神様かみさま宿やどいずみと、みんながしんじていた。





このいずみ最初さいしょに見つけたヤマネズミは、

神様かみさまからのおげを聞いた。

「ドングリをおさめたものは、しあわせになれる。」と。


ヤマネズミは、森にほか住人じゅうにんたちにもおしえた。

みんながあつまり、しあわせをったが、

みんなが満足まんぞくするには、ドングリがりない。


そこでヤマネズミは、

クルマリスに協力きょうりょくもとめた。

クルマリスは商売しょうばい成功せいこうして、ドングリをたくさんっていた。


いずみた森の住人じゅうにんに、わたしのおみせ宣伝せんでんをしてくれるなら、

ドングリをたくさんってくるよ。」


ヤマネズミは、クルマリスのおみせたたえ、

それをいた森の住人じゅうにんは、

ドングリをってなくても、しあわせの水をられた。

住人じゅうにんたちは、いずみとヤマネズミに感謝かんしゃした。

ヤマネズミは、あつまったドングリからすこしをって、

それを子分こぶんたちにもあたえた。






ヤマネズミの子分こぶんのひとり、黒ネズミは、もっとドングリがしかった。

ドングリをもっとあつめるには、

もっとたくさんの住人じゅうにんいずみあつめたらいいとおもった。


「かわいい看板娘かんばんむすめを見つけよう。」


オコジョをんでおしゃべりをさせたら、

さらにおおくの住人じゅうにんあつまってた。

それをたホケンリスやゴハンリスが、

うちのお店も宣伝せんでんしてほしい、とたくさんのドングリをってた。


たのしくなければいずみじゃない。


たくさんのドングリがあつまると、

たくさんの住人じゅうにんあつまって、

またリスぞく商売人しょうばいにんがドングリをってきて、、、、。


奇跡きせきいずみしあわせパワーは、さらにつよくなっていった。


黒ネズミは、自分じぶん手柄てがらだから、とヤマネズミをいずみからした。





黒ネズミは、手下てしたのハイイロネズミやシロクロネズミらと、

豪華ごうからしができるようになった。


黒ネズミは、もっとドングリをあつめようと、

うた上手じょうずなシルバーキツネをんできた。

シルバーキツネがうたうと、

さらにおおくの森の住人じゅうにんいずみあつまった。

シルバーキツネがうたうなら、

とリスぞく商売人しょうばいにんたちは、さらにドングリをってた。


ところが、シルバーキツネはわがままで、

ときどきうたうたいたくない、という。

そんなときは、ハイイロネズミがご馳走ちそう用意よういしたりして、

シルバーキツネのご機嫌きげんをとった。


オコジョもあいわらずのうつくしさで、

おおくの森の住人じゅうにんたちをあつめていた。

シルバーキツネは、

かわいいオコジョをおよめさんにしたいとおもった。


シルバーキツネは、オコジョに、うちにあそびにくるようにさそった。

でも、オコジョは、許嫁いいなずけのイタチのことをおもって、さそいをことわった。


シルバーキツネは、どうしてもオコジョをおよめさんにしたくて、

ハイイロネズミに命令めいれいした。

ハイイロネズミは、オコジョにった。

「シルバーキツネがいなくなったら、いずみはおしまいだ。

オコジョも居場所いばしょがなくなっちゃうよ。」


ハイイロネズミは、いっしょにごはんをべるだけだから、とった。

オコジョもいっしょに、ネズミ仲間なかまたちは

シルバーキツネのうちにあそびにった。

その日は何事なにごともなくわったが。



つぎの日、シルバーキツネは、またオコジョをさそった。


「またみんなでごはんをべましょう。」


ところがそれはうそだった。

ってみると、招待しょうたいされたのは、オコジョだけだった。

オコジョは、いやだとったが、

無理矢理むりやりよめさんにされてしまった。





「シルバーキツネにいじめられました。」

オコジョは、きながらハイイロネズミにうったえた。

でも、ハイイロネズミは、いずみまもりたかった。

黒ネズミにしかられたくなかった。

黒ネズミの言うとおりにしていれば、ドングリを分けてもらえる。

だから、シルバーキツネをおこらせるわけにはいかなかった。


オコジョにだまっているように命令めいれいした。

「ドングリを多めに分けてやるから、これでゆるしてくれ。」


そんなことではオコジョのこころなおらなかった。


もう、オコジョは元気げんきが出なくなって、

いずみのみんなのまえでおしゃべりができなくなってしまった。


森の住人じゅうにんたちにうったえた。

自分じぶんひどいことをされました。」




シルバーキツネはわけをした。

「もう仲直なかなおりしたので、心配しんぱいいりません。」


でもオコジョは、

ほんとうにシルバーキツネをゆるしたわけではなかった。




はなしいたリスぞく商売人しょうばいにんたちは、

ドングリをってくるのをやめた。

「オコジョにひどいことをしたね。」

ひどいことをしたシルバーキツネは応援おうえんできない。」

ひどいことをしたシルバーキツネを、まもろうとするネズミぞくゆるせない。」

「ネズミぞくをそのようにさせた黒ネズミは信用しんようできない。」

リスぞくは、森の住人じゅうにんたちから、

ネズミぞくと同じような悪いことはしていないよ、とおもわれたかった。


ドングリがあつまらなくなったいずみは、水のパワーをうしないかけていた。

森の住人じゅうにんがついた。

「シルバーキツネはわるいことをした。

でも、それをゆるして事件じけんかくそうとした、

ネズミぞく一部いちぶの人たちも、おなじくらいわるい。」

「ネズミぞくはオコジョをたすけてあげなければならなかったのに。」






いずみ復活ふっかつするには、

わるいことをしたことをみとめて、

もう二度にどとしないことを約束やくそくしなければならない。


ネズミぞくのみんながわるかったわけではないが、

わるいことができないような仕組しくみをつくらなければいけない。


こんなわるいことは、ここのいずみだけでなく、

ほかのどこかでもおこなわれているかもしれない。


森の住人じゅうにんみんなでかんがえなくてはいけないことなんだ。






オコジョがこころおだやかに、

また元気げんきにおしゃべりできますように。

みんなでおいのりしましょう。

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