第17話

「このケーキ、美味しい!」

真依ちゃんがうっとりとした表情で呟くのを横に、私も目の前のいちごタルトに手を伸ばす。

一口食べた途端、爽やかな酸味と甘みが広がった。

「美味しい!」

あまりの美味しさに、目を輝かす。

「やっぱりこの店にして良かったね」

「うん。めちゃくちゃ美味しい!!」

そこで突然、真依ちゃんが思い出したように言う。

「そうだ、未来は占いって信じる?」

「占い?」

星占いとか血液占いのようなものだろうか。まさか本当の占いじゃないだろうし、、、。

私はなんて答えるべきなのか分からずにいると、真依ちゃんは話し出した。

「私は行ったことはないんだけどね、四葉町に有名な占いの館があるんだって〜」

「へ、へぇ〜、、、」

四葉町、私の実家がある地域だ。そしてその地域で有名な占いの館なんて、一つしかない。

「ちなみに、名前は、、、」

違っていますようにと心の中で願う。

「占いの館『アラタカ』」

その名前を聞いた瞬間、ダラダラと冷や汗が流れ出た。手汗が滲む。

桜井家が代々管理する館。つまり―――悠くんと蓮くんの実家になる。

当主はまだ、二人のお父さんだが、ここで行けば何て言われるか分かったもんじゃない。あのお父さんの性格上、絶対に何かやらかす。

私の立場上、小さい頃から両親に『当主様と呼びなさい』と言われ続けているが、呼び名が変わることはなかったので、今では私が『桜井のお父さん』と呼んでも両親は何も言わなくなった。

「週末、行ってみない!?」

そんなことを思い出していると、真依ちゃんが恐ろしいことをさらりと言った。

「、、、ちょっと無理かも、、、金欠だし」

「そっか〜、、、なら私も行くの止めようかな」

「ごめんね」

「全然良いよ〜」

良かった、、、占い回避出来た、、、。

食べかけのいちごタルトを口に運ぶ。

「というか、未来ってどっちが好きなの?」

「、、、へ?」

待って、どっちって言うのは、、、?

「だってー、あんなイケメン双子と四六時中一緒にいたら、どっちか好きになっちゃうでしょー?せめて、推しとかいないの?」

「な、ないよっ!二人とも大切な幼馴染だから」

「本当に〜?」

焦って否定する私に、疑うような目を向けてくる真依ちゃん。

「でも、二人は絶対未来のこと好きだよね」

「え、、、そうなの!?」

驚いたように言葉を発すると、真依ちゃんは「あの二人も可哀想、、、」と頭を抱えた。

「いや〜、どっちが隣にいてもお似合いだと思うけどな〜。未来って女の私から見ても普通に可愛いと思いうし」

「あ、ありがとう?」

「もし、どっちかと良い関係になったら、教えてね!あと、未来の結婚式は友人代行でスピーチするから!」

更にはそんなことを言うもんだから、訳もなく恥ずかしいような、照れくさいような気持ちになってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る