第6話 果林の心配
「ああ〜、も、信号繋がんねーな」
打ち合わせ場所のテレビJ局へ車で向かう途中、長い信号にいくつもつかまり、ため息をついていると、助手席の果林が心配そうに聞いてきた。
「あらっちゃん、大丈夫? あれから、元婚約者さんとはどう?」
「ああ、お前には心配かけちまったな?きちんと話し合いをしたいんだが、あれっきり連絡とれなくてな?」
婚約破棄直後に電話を受けて、果林に
メンタル崩壊している自分を晒してしまった事を思い出し、気まずい俺は苦笑いでそう言うしかなかった。
美咲さんに、他の男と結婚すると一方的に婚約破棄された時の時の事を考えると、今も胸が痛むし、死にたいぐらい惨めな気持ちになる。
それでももう一度話をする為、彼女と何度も連絡を取ろうとしたのだが、連絡先はブロックされ、住んでいたマンションは退去済み。職場も既に退職していて、同僚に聞いても今の連絡先も分からないとの事だった。
1年付き合った婚約者をきれいに削除するお手並みは鮮やかという他ない。
あの一方的に渡された手切れ金の資金元である、今の男に入れ知恵されての事かもしれないが……。
「無責任な人だね……! 本当に許せない! あらっちゃん、元気出して? たまたまひどい女に当たってしまっただけだよ! これから、いっぱい幸せになろ? ね!」
俺の為に怒ってくれ、ファイティングポーズを取り、一生懸命慰めてくれる果林に、精一杯笑顔を向けた。
「ああ。果林、ありがとうな?
恋愛とかはもうしばらく懲り懲りだが、これからは、お前達アイドルタレントの成長を見守る事を生きがいに余生を過ごしていく事にするよ」
「あらっちゃん……」
果林の言うような幸せが今後俺に訪れる事はないだろが、その表情を曇らせたくはなかった。
「そんな顔するなって。お前は、その情報がデリケートな扱いになってる相手とやらへの告白を頑張って、俺に幸せのお裾分けをしてくれや! なっ?」
「分かったよ! あらっちゃんも私が必ず幸せにしてみせるからね?」
果林は、本当に見るもの全員を幸せにしてくれそうな魅力全開のキラキラ笑顔で、俺に親指を立てた。
その後の打ち合わせでは、告白の相手について、根掘り葉掘り聞かれる事もなく、「ああ〜。情報がデリケートな扱いになってる方ですね」でほとんど問題なく進行した。
ただ、番組Pも、周りのスタッフも果林だけでなく、俺の顔を不必要な程ジロジロ見て来るのだけは少し気になった。
一体何だったのだろうか……?
その疑問は、告白番組生放送当日、予想もしない形で明かされる事になる。
✽あとがき✽
いつも読んで下さり、フォロー、応援、ご評価下さりありがとうございます!
週間ランキング ラブコメ部門で100位圏内に入りました。応援下さった読者の皆様には本当に感謝です✨(;_;)✨
完結まで頑張って執筆していきたいと思います。
次話はいよいよ告白番組開始!
どうなる事やら見守って頂けると嬉しいです。
今後ともどうかよろしくお願いしますm(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます