結婚直前に婚約破棄されたマネージャーの俺が育てたアイドルに拾われ婚するってマ?
東音
第一章 結婚式の三ヶ月前に婚約破棄されるってマ?
第1話 光り輝くアイドルのあいつと見送るマネージャーの俺
アイドルやタレントの趣向を凝らした告白劇が視聴者に人気のTV番組「初恋のあの人へ生告白♡」の生放送開始直前――。
『音声オッケーです!』
『カメラチェック入りまーす!』
周りでスタッフが慌ただしく動く中、隣で緊張した様子で頬を紅潮させている金髪に青い目の美女にこそっと話しかけた。
「果林、大丈夫か〜? こういう番組は初めてだろうが、いつも通り肩の力抜いていけよ?」
「んふっ。あらっちゃん、大丈夫だよ〜? 緊張してるけど、ウチ、ワクワクもしてるんだよ!」
青い目を煌めかせて、弾けるような笑顔でそう答えてくれたのは、桃谷果林(23)
俺がマネージャーとして長年育てて来たアイドルにして、この番組のメインゲストだった。
天然の金髪に青い目、整った顔立ち、抜群のスタイル、卓越したダンスと歌唱力を持つ彼女はアイドルグループ「ルミナス☆ミ」で不動のセンターを誇り、最近では、ソロでドラマやバラエティ番組にも多く出演し、天真爛漫でガッツのあるキャラとして人気を博している。
年内には「ルミナス☆ミ」を卒業する予定で、アイドルからタレントに本格的に転向する事が決まっていた。
我が社、キラ星プロダクションの稼ぎ頭とも言える彼女に、社長がこういう番組にヤラセなし、ガチンコ告白での出演を許したのには驚きだった。この番組での告白したタレントが相手と交際する確立は80%と異例の高さで、中には結婚まで言ったカップルも数組いる程だった。
もし本当に果林が誰かと交際するなら、それにより人気が低迷しないような話題性か財力のある相手が望ましいだろうが、番組で告白する相手はどうやら有名人ではないらしい。
社長はその相手を知っているというが、俺には詳しくは教えて貰えなかった。
「多分ね?この告白はほぼ100%成功するって、リサーチ済み! でも、そこからお付き合いを続けていけるかは自分次第ってとこかなっ?」
嬉しそうにそう言う果林は純粋に相手を慕っているようで、心配ではあるが、まずは、この番組を無事に終えられるよう応援してやる事にした。
「へえ。すごいな? 相手の人、いい奴なのか?」
「うん。ぷぷっ! あらっちゃんもその人の事、100%男として最高にいい奴だって認めてくれると思う」
「なんか100%多くてすげーな! でも、果林がそんな確証持てる相手なら俺も安心できるかな」
「うん。うまく行ったらその人とあらっちゃんの実家に挨拶にも行くよ」
「ああ、母さんもきっと喜ぶよ。俺もいっぱいうまい酒飲ましてやんぜ?」
明るく素直な果林だが、実は、俺がスカウトした時点では、彼女はかなりひどい家庭環境に置かれていた。
ゴタゴタした末に、俺の母親が果林の親から監護補助を頼まれ、ほぼ果林の保護者のようになっていたのだ。
9年も彼女の成長を見守って来た俺も、もはや果林を身内のように感じており、彼女が選んだ相手と彼女の幸せを見届けてやりたい気持ちになった。
「まぁ、まずは、告白、頑張れよ? 女を見せてやれ!」
「うん。だから、頑張ろうね?」
「ん?」
果林の言葉にを聞いて、頑張るね? の間違いでは?と目をパチクリさせた。
まぁ、アイドルとマネージャーは一蓮托生みたいなものだがな? たま〜にちょっと天然入る時あるんだよな? こいつ。
と、思い至り俺が苦笑いを浮かべた時……。
「桃谷果林さん! こちらで待機お願いします」
「じゃ、行って来る……!」
「あ、ああ……。行って来い!」
スタッフに声をかけられ、果林は手を振ってスタジオの待機場所に向かうのを見守った。
彼女が過去と未来を見据え、迷いなく前を進む姿に、俺も背中を押される思いだった。
まだジクジクする胸の痛みを抱えながらも、俺は自分自身に強く言い聞かせた。
そうだ。落ち込んで立ち止まっていてはいけない。今の俺には仕事だけが人生なのだ。
つい先日、俺は婚約者に婚約破棄されたばかりだった――。
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