第2話 食堂『栄養堂』

「はい、ソーキそばとソーミンチャンプルー、黒糖ぜんざいですねー!」

「おっ、きたきた! いやぁ美味そうだ!」

「はい、いらっしゃいませー! 何名様ですか?」

「おにーさん、こっちに水おねがーい」

「はーい!」


 夕方から夜にかけてのこの時間帯は店の書き入れ時だ。ランチタイムほどではないが、それでも席はほぼ埋まる。


「はい、こちらカツカレー大盛りとタコライスですー」


 頭に白いはちきを巻いた養太ようたは厨房と客席を何度も往復する。


 注文を取り、料理を運び、空いた席の皿を下げてテーブルを拭き、レジで会計を行い、また新しい客の対応をする。


 養太の他に三人の店員もせかせかと動き、厨房では養太の母とアルバイトのおばさんたちが黙々もくもくとフライパンを振るっている。普段はおしゃべりばかりしている母たちも、ランチタイムとこの夜の時間だけは真剣な顔つきになる。


 皿や食器が立てる音、厨房から聞こえてくるのは肉や野菜が焼け上がる音、そして養太たち店員の声。店の一角に置かれているスピーカーからは三線のBGMが流れている。


 今日も食堂『栄養堂』はにぎわっていた。

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