メテオライトを星空に誓った約束

月兎アリス/月兎愛麗絲@後宮奇芸師

星空に流れた一縷の光

「ねえ、知ってる?」


 星天せら彗月すいかの方を向く。


「何?」


 セーラー服のスカートが寒風になびく。二十四時間も開いている公民館の屋上、その手すり。ペンキが剥がれたところに、赤いびが浮かぶ。ぎゅっと握りしめると、ぴきっという音と共に、皮膚が痛くなった。


「……輝き続ける彗星も、幻じゃないって」


「何それ」


 彗月が、はっと嘲笑わらう。星天は、夜空を指差した。凍星いてぼしが澄んで輝き続けるだけだった。


「メテオライトって、何か知ってる?」


「知ってるよ、それくらい。隕石でしょ」


 メテオライト── 宇宙から飛来し、大気圏を通っても燃え尽きなかった石や岩石のこと。隕石に等しい。


「メテオライトになれるのって、素敵なことなんだよ」


「いやだよ。岩になんか」


「たとえだよ」


 星天がにこっと口角を上げる。


「燃え尽きない、ずっと輝き続ける存在になる。涙も何もかも、進むためのものにして、ね」


 彗月が、はっと息を呑む。




「ま、そういう歌を聴いただけだよ。三月の……ホワイトデーのちょっと前にリリースされたんだ」


「今までの感動返せ」


「もう、ひどいなぁ……私は、彼らがそうなると信じてるけどね」


「オタクなんお前?」

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