嘘妖に愛された少年は、最高難易度ダンジョンに挑む。~疎まれし【万物反転】の力で、迫害された最弱は最強へと至る~
あざね
オープニング
プロローグ 嘘吐き少年。
「……てめぇ、どういうつもりだ一ノ瀬!?」
「くっ……!!」
クラスメイトの中でも、カースト上位の男子がボクの胸倉を掴む。怒りに満ちた表情からは、いまにもこちらを殴ろうとする気配が漂っていた。
周囲のみんなは何事かと、驚いた様子でボクたちを見る。
しかし、そんなことお構いなしに男子は力任せにボクの首を絞り上げた。
「言ってた出題範囲、全然違うじゃねぇか!? 小テストとはいえもし、内申点に響いたらどうしてくれる!?」
「し、知らない……ボクは、ちゃんと……!?」
事の発端は、今朝のホームルーム直後までさかのぼる。
この男子はボクに、英語の授業で出題される小テストの範囲を確認したのだ。事前に発表されていたそれについて、教えるのはまったく問題ない。そう考えたボクは、親切心から一緒に復習までしたのだが……。
「そうやって、同じ志望校の相手を落とそう、ってか!? このホラ吹きが!!」
「違う! そんなつもりは――」
――何がいったい、どういうわけか。
ボクが記憶し、口にした出題範囲とは全く異なる場所がテストに出たのだ。それだけなら勘違いと済むだろうけど、問題はそれだけではない。
他のクラスメイトに確認すると、何故かそこで違いない、と返ってくる。
結果として相手の男子は逆上して、いまに至るというわけだ。もっともこれが、同じ志望校の仲間でなければ、拗れない話だったかもしれないが……。
「もういい、お前にはもう勉強の相談はしねぇよ!!」
さすがに振り上げた拳はおさめて。
クラスメイトの男子は、苛立ちながら教室を出て行った。中学三年の受験期真っ盛りというのは、ここまで人の心を逆立たせるものなのだろうか。
ボクはそう考えながら、必死になって呼吸を整えた。
そして、思わずこのように口にするのだ。
「そもそも、出題範囲を忘れたそっちが悪いだろ……?」
それはきっと、至極真っ当な意見。
自分が忘れてしまったことを誰かに教えてもらっておいて、あの態度はおかしいだろう。そう思ったのだが、クラスメイトの反応は違っていた。
「うわ、一ノ瀬のやつ……また『嘘』ついたのか」
「可哀想だよね、武政くん。推薦、大丈夫なら良いけど……」
周囲の非難の矛先は、ボクに向かっている。
まるで、すべてが裏返ったかのように。
「……くそ、またかよ」
ボクはクラスメイトからの冷めた眼差しを避けるように、廊下に出た。
そして、窓際に立って外の景色を眺める。
周囲が受験期の最中、互いに切磋琢磨する声が聞こえてきた。
ボクはその輪に入れずにいて、一人で時間を潰すしかない……。
――
新作(*‘ω‘ *)です。
エイプリルフールだし、嘘をテーマに何か書こうかな、と。
気楽にやります。
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嘘妖に愛された少年は、最高難易度ダンジョンに挑む。~疎まれし【万物反転】の力で、迫害された最弱は最強へと至る~ あざね @sennami0406
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