第11配信 終わりなき戦い——王都の闇を暴け

セリスとの死闘を終え、街には一時の静けさが戻っていた。

だがその静けさは、まるで不気味な静寂——嵐の前の静けさだった。


俺は、傷ついた身体を引きずりながら、騎士団の医療テントに座っていた。

団長が近づき、そっと布を俺の肩にかける。


「お前は、本当に……」


「いや、まだ終わってねぇ」


俺は顔を上げた。

そう、終わっていない。セリスは確かに倒した。けど、それで終わりなはずがない。

だって、あいつは最後にこう言ったんだ——


「“本当の黒幕”は、まだ表に出てきていない……」


[視聴者] なにそれ!? 黒幕まだいるの!?

[視聴者] セリスって中ボスだった!?

[視聴者] マジかよ……展開アツすぎるだろ!


「団長、王都に行かせてくれ」


「何?」


「このままじゃ、また誰かが犠牲になる。セリスの背後にいるやつ……そいつを止めなきゃならない」


団長は黙って俺を見つめたあと、ゆっくりと頷いた。

「……分かった。全力で支援する。だが気をつけろ、王都は“建前”で動いている。真実を語る者は消される世界だ」


「なら、ぶち壊すまでだろ?」


その言葉に、団長がわずかに笑った。



王都へ向かう途中、道端に倒れていた一人の女性を助けた。

彼女の名はリエル。貴族の出身で、かつてセリスの同志だったが、真実に気づいて逃げたという。


「彼らは、“神域プロジェクト”を推進している。すべての魂を管理することで、理想の秩序を作るとか……」


「魂を管理……?」


「そう、まるで神にでもなるつもりなのよ」


[視聴者] 魂の管理!?ヤバすぎだろそれ!

[視聴者] 王都、完全に狂ってんじゃん!

[視聴者] 黒崎、絶対止めてくれ……!


リエルの話を聞くうちに、王都の歪んだ正義が浮かび上がってきた。

それは、民のためではない。

**王家が永遠に力を保持するための“偽りの理想”**だ。


「……ふざけんなよ」


俺の拳が震えた。怒りが湧き上がる。


「それが、この世界のやり方だってんなら、そんなもん全部壊してやる」



王都に着いた俺は、リエルの案内で裏路地から王宮への侵入を試みる。

その途中、目の前に現れたのは、一人の男。王都直属の処刑人——


“魂狩り”ヴァイス。


全身黒装束、無表情で巨大な鎌を携えたその姿に、俺は背筋が凍るのを感じた。


「黒崎……貴様をこの地で終わらせるために来た」


「こっちも、お前を倒して、奥へ行かせてもらう」


鎌と剣が火花を散らす。重たい攻撃の応酬の中、俺は確信する。


こいつは……本物だ。セリスとは比較にならない。


[視聴者] やばいやばいやばい!!

[視聴者] こいつがラスボス!?

[視聴者] 黒崎、死ぬなよ……頼むぞ!!


「来い、黒崎。お前の魂、俺が“解放”してやるよ」


ヴァイスの鎌が空気を切る。

俺は寸前で避け、渾身の一撃を返す。


だが、ヴァイスはまるで死を恐れていない。

その目に映るのは、ただ“任務”だけ。


「魂は自由じゃなきゃ意味がねぇんだよッ!!」


俺は叫ぶ。

誰かのためじゃない。自分のために、この剣を振るう。


この世界の嘘に、終止符を打つために——!!


(第11配信 完)

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