第5話「人間革命の波乱」

 2025年5月25日、日本が朝鮮統一帝国とソ連の脅威に立ち向かう中、国内で新たな嵐が巻き起こった。創価学会を率いる池田大作が、突如として「人間革命」の名の下に日本政府と新生オウムの連合に反旗を翻したのだ。かつて平和主義を掲げていた創価学会が、なぜこのタイミングで牙を剥いたのか。私はモスクワの監視室で、その不可解な動きを追った。


 池田大作は、高齢ながらも驚異的なカリスマで信者を鼓舞した。彼の演説は全国に配信され、こう響き渡った。「日本は自由の名の下に混沌に堕した。新生オウムとの妥協は堕落だ。我々は真の秩序、人間革命の理想を築く!」創価学会は、独自のネットワークと資金力を駆使し、東京、名古屋、大阪で大規模なデモを展開。信者たちは「南無妙法蓮華経」を唱えながら、日の丸を下ろし、学会の三色旗を掲げた。


 日本政府は混乱した。佐藤真理子率いる新生オウムと自衛隊は、外部の敵である朝鮮統一帝国と戦う一方で、内部の分裂に直面した。創価学会の勢力は予想以上に大きく、全国の会員数は数百万人に上った。彼らは政府施設を占拠し、独自の「人間革命政権」を宣言。池田は新たな首都を大阪に定め、「真の日本」を再建すると主張した。


 この動きに、ソ連と朝鮮統一帝国が便乗した。金永進は創価学会に接触し、武器と技術の支援を約束。世界平和統一家庭連合も、宗教的共鳴を理由に池田を支持した。ソ連の残存指導部は、「日本を内側から崩せば、アメリカも孤立する」と計算し、赤い影をさらに濃くした。私は画面越しに、三色旗と赤い旗が並ぶ異様な光景を見た。


 5月30日、内戦が勃発した。自衛隊と新生オウムは、東京を守るために創価学会の進攻を阻止しようとしたが、学会の信者は驚くほど組織的だった。彼らは非武装のデモを装いつつ、夜間にゲリラ戦を仕掛け、政府の補給線を寸断。佐藤真理子は疲弊しながらも訴えた。「我々は自由のために戦ってきた。分裂は敵の思う壺だ!」だが、国民の間でも意見が分かれ、支持は揺らいだ。


 アメリカのエリザベス・ハドリーは援軍を送る準備をしたが、朝鮮統一帝国が日本海で艦隊を展開し、介入を阻んだ。ソ連の核戦力が再び動き出し、世界は三つ巴の混戦に突入した。創価学会は大阪で勢力を拡大し、池田大作は「人間革命の完成」を宣言。「日本は我々の理想郷となる」と彼は言い切った。


 6月1日、事態は極点に達した。創価学会が東京への総攻撃を開始し、自衛隊と新生オウムは最後の防衛線を張った。だが、ソ連の支援を受けた学会のドローン群が空を覆い、EMP兵器で反撃を封じた。私はモスクワで、崩れゆく東京の映像を見ながら、思った。自由を求める戦いは、内部の信念によって裏切られることもあるのだ。


 池田大作の三色旗が国会議事堂に掲げられた時、日本は二つに割れた。新生オウムと政府は敗北し、創価学会が「人間革命政権」を確立。しかし、ソ連と朝鮮統一帝国の影が背後に迫り、真の勝者は誰なのか、誰も分からなかった。


 人間革命の名の下に、日本は再び混沌に飲み込まれた。

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