SF屯田兵 五〇一 錆びた荒野のゆるふわメカ戦記

@gin

第一部.着任編

プロローグ.みっしょん0 赤い荒野と大きな戦い




 かつてルーフスは美しい惑星ほしだった。


 広い広い青い海が惑星の大半を覆い、大地は緑と豊かな生き物にあふれていた。


 青きルーフス。

 生命の星ルーフス。


 その美しく豊かなルーフスを災厄が襲った。


 ──〈大きな戦い〉。


 機械と人間の間で起きた戦争だ。


 森で、山で、谷で、機械と人は戦った。

 砲弾が大地をえぐり、炎が森を焼いた。


 空でも、海の上でも、海の底でも、機械と人は戦った。

 青い空は黒煙に覆われ、海は機械と人のむくろであふれた。


 街という街が焼かれ、壊された後も、機械と人との戦いは続いた。


 長い…とてもとても長い間、戦いは続いた。


 その戦いは、惑星の姿まで変えてしまった。


 森は消えた。

 鳥も獣も魚も、みんないなくなった。

 海は干上がり、惑星は赤い荒野に覆われた。


 長い長い時が流れ、戦いは終わった。


 機械と人間、どちらが勝ったかはわからない。


 そして、また長い長い時が流れた。


 失われた森や生命がもどってくることはなく、ルーフスの地表には赤い荒野がどこまでも広がっている。


 生き物の影すら無い荒野に蠢くのは、機械生物──BEMベムだけだ。


 乾いた風が吹きすさぶ赤い荒野。


 錆びた荒野が、どこまでもどこまでも広がる世界。


 豊かなルーフスの姿はもうない……。




 ──どっこい人類は生きていた!




 長い長い時間をかけて、人類はベムと戦いながら惑星環境を改善させていった。


 そして現在──新暦216年。


 〈都〉を中心に、20を越える復興開拓都市〈コロニー〉が建設されている。

 少しずつ、人類は復興の道を歩んでいる。


 錆びた開拓地ラスト・フロンティアに繁栄の花を咲かせるために。

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