歪んだ愛

@reiruna0805

第1話

『百合ちゃん起きて、遅刻しちゃうよ』


そんな声に耳を傾けられないほど眠りについていて


んー……


まだ眠たいのに……


布団を引き寄せて擦り寄る


「百合ちゃん……」


体が揺すられる


んー、もう……まだ眠たいのに


ぼやけたままではっきりしない視界のまま布団を掴んだまま上半身だけ起き上がる


『どうして起こすの……』


視界がぼやけたままで目が開けられなくても足元のスリッパだけで誰だかわかる


時計を確認したらまだ10時半……


「お昼からハワイに旅行に行くの忘れてるの?準備もしてないみたいだし……」


布団を引き寄せ、また横になる


『私は行かないです……そういったはずですから……あの人達にも、』


「どうして?せっかくの家族旅行なのに」


家族?……


あなたはそう思ってるかもしれないけれど…


私はそう思ったことなんて1度もない


『家族旅行じゃなくて新婚旅行の間違いな気がするよ、それに行っても疲れるだけな気がして』


「一緒に行こうよ……精一杯楽しませてあげるから」


純粋な気持ちを表現したような綺麗なエメラルドの瞳を向けられる


『どうしてそこまでして……他に好きな人呼んだらいいのに』


「居ないよ……そんなの」


即答で返される


好きな人ってそっちの意味じゃなかったのに……


『普通に友達で……』


「行こうよ……一緒に」


優しく断ってるのに……


はぁ……


『話は終わりですか……』


そう眠ったはずなのに……今車に乗せられて移動してるのは何故……


目が覚めて男に膝枕をされていて起き上がる


はぁ……


また、お母さんが勝手なことを


「百合ちゃん……」


申し訳なさそうな声が聞こえる……


お母さん達は違う車なんだろう……


諦めていくしかないのか……


空港に着くとルンルンのお母さんと義理のお父さん……


「もう百合ちゃんたら…引きこもってたらそのうち鬱になっちゃうわよ…」


「詩織さん、百合ちゃんも色々あるんだよ。気分転換にもなるだろうしね」


飛行機に乗る前に少し時間がある


「百合ちゃん?」


『ちょっとそこのベーカリー屋さん行ってきてもいいですか?』


「百合ちゃん……ハワイ行くよね……」


『行くよ……お母さん……相変わらずだしね……』


私が思い通りにならないのがやなんだろう……


昔から変わらない


「すぐ戻ってくるから荷物だけ見といてください」


「あ、ッ……うん」


荷物をお願いしてお店に入り適当にパンを買う


お腹がすいてるからか全て美味しそうに感じる……


席に戻ると時間が近づいてきて移動する


飛行機のいち号車……乗るの久しぶりだな……


「百合ちゃん横に座ってもいい?」

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