第18話
そろそろか……?
と消えゆく意識の中。肩で息をしていると、漸くそんなあたしの異常に気づいた奴は。
あたしの前に颯爽としゃがみこんで、
「何だよ?どうした?」
「・・・・・・」
本当、この人誰。
あたしを保健室に連れて行ってくれるつもりがないなら、どっかに行ってくれればいいのに。
ていうか誰か呼んできてほしい。
このままだと一人で立てない気しかしないし。
目眩までして来て、視界もグラグラしてきたりしてるし。
「まさかこんな所で発情期かよ?!マジかお前!!」
「・・・・・・」
「まぁ?俺様藤様並のレベルになっちゃうと?野外プレイもお手の物みたいな感じに思われてんのかもしんねーけど?」
絶対このままだと気絶する・・・・・・。
ん?いま。藤って。
今間違いなく「俺様フジ様」って。
確かに聞こえて・・・・・・。
フジ様?
藤さま?
「・・・・・・」
藤、くんだったりするワケ・・・・・・?!
あんた?!
アンタなのね?!
絶対アンタだわ!!間違いない!!
「お前かぁあ!」
「………はっ?」
驚いて目を見開いた金髪男。
そんな金髪男の髪を突如鷲づかみにしたあたし。
それはもはや無意識。
薄れつつある意識の中で、やっとこんな状況にまで追い込まれている原因を見つけた喜び、否。狂気と言う名の怒り。
その怒りと、目の前に突然現れた金色。
藤くん、と名乗った男。
その男に、あたしは市役所に行って調べもせず、確認もせず、証拠もないまま。
ボケーっとする頭で、本能のままに行動していた。
それはそれは女とは思えない雄叫びのような叫び声をあげて、手のひらに感じる痛んだ髪の感触を最後に。
運が良くも悪くも、そこで意識を手放した。
「は……?」
たった1人。
あたしの気迫に固まった金髪男を視界に入れて。
B&L Ⅰ 有希 @yuuki0921
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