第15話
そんな猛暑に突き進もうとしている春先。
すでにもう記録的だよ、と思いながら、数日前の雨風のせいで土がついて固まった跡のある体育館の壁に寄りかかるように背中を預けた。
今日もあたしの運命はこんなモンだとあきらめかけ、コンクリートに座り込んだその刹那。
「あちゃーっ」
倉庫の上から降ってきた明らか“やっちまった”という声に。
乱れた髪のまま。ギラギラな陽キャな太陽が主役の空を見上げた。
「お前、ゆずって言うの?」
サラリと揺れたのは目映いほどの金髪。
真っ赤な太陽と真っ青な空に良く映えるそれは、思わず目をつぶってしまいそうなほど明るくて。
太陽の光に反射して光るその金色に、スッと目を細めると、屋根の上にいる金髪は「あちゃー」と顔をさらにしかめる。
お前、とか。
あたしの知り合いでもあるまいし。
何て心の中で悪態をつくあたしの真上には、サラサラの金色。
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