第9話

理不尽なモナの態度への憤りと、殴られた腹部と頬。

引っ張られた髪による頭皮のズキズキ。





あたしはオモチャか。

まさかのストレス発散用のお人形か。





でも残念。あたし人間。

人間の女の子だから。

こう見えても女の子だったりするから。

いっちょ前に生理痛とかあるから。




生理痛でいつもより貧血な今、あたしの顔色は益々悪くなっていってるに違いないから。




気を抜けばふらっと倒れそうな身体を必死で抱きしめて、あたしはふんわり柔らかそうな自分の髪を弄るモナを見上げた。




「……あたしじゃ、ない」



今ので何十回、いや、何百回目の言葉だろう。



もう言い過ぎて舌さえ覚えてしまったくらいには紡いでいる言葉。



入学してから過ごしたモナとその仲間たちとの友情なんて所詮こんなもん。

男の軽い一言でこうして簡単に崩れ去るくらい、あっさりしたもの。




誰1人信じちゃくれない。

まぁね。結局あたしってそんなもんよ。そんな程度の人間。あんた達にとってあたしなんて、信じるにも値せず。庇おうとも思えない存在だしね。


モナ、リーダーだしね。

この薄気味悪い女グループの、太刀の悪い、やたらとクネクネしたリーダーだしね。




あたしなんかより女としての自信があって、人を惹きつけるほどの魅力がある女友達の方が価値があって、大事だもんね。

そんなモナの周りにいれば自分たちの価値も上がるしね。

それ相応の男だって手に入っちゃうワケだしね?

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