第9話
理不尽なモナの態度への憤りと、殴られた腹部と頬。
引っ張られた髪による頭皮のズキズキ。
あたしはオモチャか。
まさかのストレス発散用のお人形か。
でも残念。あたし人間。
人間の女の子だから。
こう見えても女の子だったりするから。
いっちょ前に生理痛とかあるから。
生理痛でいつもより貧血な今、あたしの顔色は益々悪くなっていってるに違いないから。
気を抜けばふらっと倒れそうな身体を必死で抱きしめて、あたしはふんわり柔らかそうな自分の髪を弄るモナを見上げた。
「……あたしじゃ、ない」
今ので何十回、いや、何百回目の言葉だろう。
もう言い過ぎて舌さえ覚えてしまったくらいには紡いでいる言葉。
入学してから過ごしたモナとその仲間たちとの友情なんて所詮こんなもん。
男の軽い一言でこうして簡単に崩れ去るくらい、あっさりしたもの。
誰1人信じちゃくれない。
まぁね。結局あたしってそんなもんよ。そんな程度の人間。あんた達にとってあたしなんて、信じるにも値せず。庇おうとも思えない存在だしね。
モナ、リーダーだしね。
この薄気味悪い女グループの、太刀の悪い、やたらとクネクネしたリーダーだしね。
あたしなんかより女としての自信があって、人を惹きつけるほどの魅力がある女友達の方が価値があって、大事だもんね。
そんなモナの周りにいれば自分たちの価値も上がるしね。
それ相応の男だって手に入っちゃうワケだしね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます