第7話

「やめてほしい?」




ふふ、って男全てを虜に出来ると思っているモナのいやらしく細められた目。



黒ではなく茶色のアイライナーで囲まれた目元は、こんな人を痛めつけるモナの姿を知らない人にはとても穏やかで可愛らしい印象を与えるんだろうと思う。




「やめっ…」



当たり前だろ。

普通の人間だったら。

こんな状況やめてほしいに決まってる。




それが被害者なら尚更。

今は加害者の気持ちなんてちっとも分かんないけど。そもそも、分かりたくもないけど。



でもやめてほしい、ってきっとそう言ったって。

モナはやめない。




だってモナはあたしがやめてほしい、と懇願する姿を楽しんでるだけだ。

あたしが必死でモナ自身に縋る姿を見たいだけ。




客観的に見ると、なんていびつな形に歪んだ人間なんだろう思う。



それでも今。

絶賛生理中のあたしにとって、内側からの生理痛と外側の蹴りによる痛みはそうそう耐えられるモノではなく。



生理痛の酷いあたしとしては、立ってるのさえやっとだ。



だからお試しのつもりで出した“やめて”。

ほんと、大分痛い。

昨日までの比じゃない。

今日の攻撃は一方的過ぎるし、激し過ぎる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る