第6話
だってこの子たちには、何を言っても通じない。
そもそも最初から、あたしの言葉なんて聞くつもりもないし、聞く必要もないと思ってるに違いない。
この子たちはモナがあたしを攻撃する理由なんて何だって良いんだ。
人を攻撃さえできればそれで。
攻撃すること自体が。
他人を攻撃して人を見下すことそのものを楽しんでいるんだから、そりゃぁねぇ?
あたしがどんな言葉で説明しても、納得するはずがない。
まさにそれこそ。
暖簾に腕押し状態。
いくら説明しようが、いくら泣こうが。
この子たちにあたしの言葉は届かない。
この子たちが欲しい答えをあたしが口にするまで。
いや、口にしても尚、この攻撃は続く。
きっと終わりなんてない。
始まりのスタート線ですら、今のあたしには見えないのに。
終わりに向かうゴールの線なんて遥か遠くに決まってる。
きっとたどり着くこともないような、遥か遠くの地平線の彼方にならあるかもしれないけど。
と達観してみた所で、あたしが毎日殴られることに変わりはない。
こんな風に毎日毎日“攻撃”され続けている自分。それも、全く身に覚えのない理由で。
しかも少なくとも数週間前までは友達、だったであろう人達に。
「……ッ」
突然腹部を襲った激痛。
痛みにグッと身体をくの字に曲げ、上履きで蹴られた腹部を抱くように呻く。
漏らしたくもない呻き声が噛み締めた筈の唇の隙間から漏れてしまった。
「痛い?痛いよねー?」
モナの高い声。
耳に粘着テープみたいに張り付くソプラノ。
悪意だらけのソプラノ。
それさえも痛みに殺されそうな今のあたしには、煩わしい虫の音。
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