貪欲に歪んだ華【連載中】

@reiruna0805

表紙

side×××××


真冬の朝…


病室の中は外とは違って暖かいはずなのに…


父親の病室は冷たい空気に包まれていた


父親は苦しくても笑顔を向け


まだ小さい自分を壊れそうな手で優しく触れる


優しい父親がこの日初めて毒のある言葉を吐いた日でもあり、散った日でもある


「欲しがりなさい…


常に…


大人しくして身を引いてばかりだとだめだからな…


男の子ならいっそう」


『お父さん…?』


「わかったかい?…


狂ったように欲しがりなさい…


そうすれば必ず手に入る


誰よりも…


絶対に忘れないで」


優しい瞳の奥に隠された最後に父親がみせた姿だった


『お父さん…お父さん…』


ピーピーピーピー


鳴り響く機械音は病むことがなく


その言葉を最後に父親は息を引き取った

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